よく失敗しがちな中堅・中小企業による大手企業OBの雇用。しかし、アイリスオーヤマでは綿密なサポートや、独自のコミュニケーション体制で「異文化」の壁を乗り越えている。

TV会議と相対 コミュ力アップの妙

(左)家電開発部大阪R&Dセンター 犬飼正浩氏 (右)家電開発部大阪R&Dセンター 西谷久弘氏

大手メーカーをリストラされ、中堅・中小企業に中途採用されたものの、大企業で働いていたというプライドから「自分のやり方が絶対だ」という態度を取って周囲から反発を受け、孤立してしまったという話をよく聞く。

この点に関しては、元三洋電機の犬飼正浩もパナソニック出身の西谷久弘も、自分を育ててくれた会社に対する誇りを持つ一方で、「これだけの新商品を世に出してきたアイリスオーヤマの開発力は凄い。学ぶべき点が数多くあります。自分の意見をいう際には、こうした考えや情報もありますよと提案する形を心掛けています」と話す。常務取締役研究開発本部長の大山繁生は「いい意味で裏切られましたね」と微笑む。

とはいえ、大阪R&Dセンターと角田ITPとは直線距離にして約600kmも離れている。この距離の壁をどう乗り越えて、家電分野の商品開発という微妙で繊細なコミュニケーションを、どう図っていくのか。その点に関して最も腐心しているのが大山、そして14年7月にセンター長に就いた中途社員の真野一則だろう。