普通の健康診断ではわからない病気の手前の“未病”段階での体の異常を見つけ出し、栄養バランスを整え直すことで、120歳長寿も夢ではない!? 驚異の検査と治療法を紹介する。
(PIXTA =写真)

サプリメントは、特定の栄養を目的に応じて大量摂取できるのが大きな利点だ。食事による体質改善がベースになるものの、オーソモレキュラー療法(http://president.jp/articles/-/14111)では、体内の栄養バランスを短期間に変えられるサプリメントが病気や、その症状を治す強力な武器となっており、病気を治すために必要な体内栄養の濃度のことを「至適濃度」と呼ぶ。

そして、患者の健康状態に応じた至適濃度を想定し、それを達成するサプリメントをチョイスしていく。さらに、3カ月ごとに経過を観察してサプリメントの摂取量を調整しながら、健康量(健康を保つのに必要な栄養量)の維持を図っていくのだ。ただし、サプリメントの摂取量は、国が推奨している摂取量に比べて桁違いに多い。その理由について新宿溝口クリニックの溝口院長は次のように説明する。

「たとえば、ビタミンBの成人男性の摂取量について、厚生労働省は1日1.1ミリグラム以上を推奨しています。しかし、これは脚気を予防するための基準。つまり、欠乏症を起こさない必要最低限の摂取量であって、健康を保つために十分な量とはいえないわけです。オーソモレキュラー療法では、治療の早い段階で、患者さんにビタミンBを1日150ミリグラムとってもらうこともあります。『ビタミン過剰症にならないか』とよく質問されますが、経口摂取であれば、心配はいりません」

広く普及しているサプリメントだが、実は社会的信用を十分に得ているとはいいがたい。その原因の一つとして「天然由来の食品のほうが安心」といった根強い“信仰”があると考えられる。この点について溝口院長は次のように反論する。

「天然由来の食品への信仰は、思い込みにすぎません。食品でもとり方を間違えると害になります。最近、母乳だけで育てた赤ちゃんに、『くる病』が多発しています。くる病は骨の変形を引き起こす病気で、ビタミンD欠乏症の一つ。母親の栄養失調や紫外線対策によって、母乳にビタミンDがほとんど含まれていないのが原因でしょう。母乳にはメリットもあるのですが、人工の粉ミルクを飲んだ赤ちゃんはビタミンDを摂取できるのでくる病にかかりにくい。同じように必要に応じてサプリメントを活用すべきでしょう」