残業禁止や残業削減に独自に取り組む企業が増えている。そこで働く社員は、限られた時間で成果を出すためにどんな工夫をしているのか。

すべての会議を見える化

セントワークスは、やむをえず残業をしなければならない社員に対し、マントの着用を義務化。背中には目標退社時間を書いた紙を貼る。

介護サービスを全国展開するセントケア・グループ内の一社で、介護事業者向けに経営支援システムの販売や人材派遣・紹介事業を展開するセントワークスでは、12年4月から全社でWLB(ワーク・ライフバランス)プロジェクトに取り組み始めた。

従業員数111名という中小企業である同社の取り組みの特徴は、各部署にWLB担当者を置き、ボトムアップによる業務効率化を推進している点である。ITソリューション部Suisui(介護報酬支援ソフト)担当の小和田和良主任は、自部門の効率化について次のように語る。

「ITの設計開発から販売、顧客サポートまで行っており、残業時間の多さが目立つ部署でした。そこで会議で『どんな部署にしたいか』という理想像と現実とのギャップを洗い出し、個々の課題についてアクションプランをつくり、主担当と副担当を置いて実行していきました」(小和田主任)

アクションプランは多岐にわたり、多いときは20件が並行して実施されていたという。たとえば会議についてはすべての会議を見える化したうえで、複数の会議を一緒にしたり、時間や回数を減らせないかを検討した。あるいは顧客からの電話問い合わせが多い項目をFAQとしてまとめ、公開するといった施策を次々に実施していった。

こうしたアクションプランの実行により、一人当たり平均残業時間は、取り組みを開始した12年5月には54時間だったが、14年6月には34時間と、20時間の減少に成功した。