苦戦を強いられる大企業を尻目に、年率2割、3割増しで急成長するベンチャー企業がある。ベンチャー企業の経営者はどのような戦略、戦術をとっているのか。それらを検証していくことで、新しい儲けの道筋がきっと見えてくるはずだ。
EVERNOTE日本法人会長 外村 仁●1963年生まれ。東京大学卒業。大手コンサルティング会社勤務などを経て、2000年にシリコンバレーでジェネリック・メディア社を創業。10年6月から現職を務める。

起業したばかりのベンチャー企業をシリコンバレーでは、始まったばかりという意味で「スタートアップ」と呼ぶ。毎年数多く誕生する玉石混交のスタートアップの中から大きく成長する玉を選り分け、資金を提供したり、経営アドバイスをする役割を以前はベンチャーキャピタル(VC)が担っていたが、「5年ほど前からは起業家として一財産築いたエンジェル(個人投資家)が主としてその役割を担うようになっている」と教えてくれたのはEVERNOTE日本法人会長の外村仁氏だ。

外村氏は2000年春にシリコンバレーでジェネリック・メディア社を創業してVCなどから1200万ドルの資金を調達、翌年2月にフォーマットや帯域幅を問わずダイナミックに動画を変換して配信する世界初のシステムで一躍注目を浴びた起業家で、シリコンバレー日本人起業家ネットワークの初代会長も務めた彼の地のキーパーソンである。