2014年12月12日(金)

成功者が語る「米国ベンチャー企業の必達条件」

PRESIDENT 2013年2月18日号

滝田誠一郎=文 外村仁氏=写真提供
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苦戦を強いられる大企業を尻目に、年率2割、3割増しで急成長するベンチャー企業がある。ベンチャー企業の経営者はどのような戦略、戦術をとっているのか。それらを検証していくことで、新しい儲けの道筋がきっと見えてくるはずだ。
EVERNOTE日本法人会長 外村 仁●1963年生まれ。東京大学卒業。大手コンサルティング会社勤務などを経て、2000年にシリコンバレーでジェネリック・メディア社を創業。10年6月から現職を務める。

起業したばかりのベンチャー企業をシリコンバレーでは、始まったばかりという意味で「スタートアップ」と呼ぶ。毎年数多く誕生する玉石混交のスタートアップの中から大きく成長する玉を選り分け、資金を提供したり、経営アドバイスをする役割を以前はベンチャーキャピタル(VC)が担っていたが、「5年ほど前からは起業家として一財産築いたエンジェル(個人投資家)が主としてその役割を担うようになっている」と教えてくれたのはEVERNOTE日本法人会長の外村仁氏だ。

外村氏は2000年春にシリコンバレーでジェネリック・メディア社を創業してVCなどから1200万ドルの資金を調達、翌年2月にフォーマットや帯域幅を問わずダイナミックに動画を変換して配信する世界初のシステムで一躍注目を浴びた起業家で、シリコンバレー日本人起業家ネットワークの初代会長も務めた彼の地のキーパーソンである。

「なぜエンジェルが主としてその役割を担うようになったのかといえば、クラウド・コンピューティングやモバイル・テクノロジーの発達、ソーシャルネットワークの普及で、IT関連に限っていえばほとんど初期費用ゼロでサービスを提供できるような環境が整ってきたから。いまはコードを書いて『App Store』にアップすれば、世界中に売れる。ソーシャルネットワークを使うと広告宣伝費もいらない。私が十数年前に起業したときは初期投資として1200万ドル必要だったけれど、いまなら200万ドルもいらないだろう。それくらいの金額だとエンジェルの少額投資でも賄えるようになった。ここが、この数年で大きく変わった点です」

ただし投資金額は少なくても、エンジェルが投資先を厳しく吟味・精査することに変わりはない。その判断基準は「人」と「成長スピード」だと外村氏はいう。

「テクノロジーがどれだけ優れているかとか、これまでにないサービスで大きな市場が期待できるとか、3年後の売り上げがこうで5年後はこうといっても、そんなこと誰もわからない。一番確実なのは誰がそのビジネスをやろうとしているのかということ。結局は人なのです」

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