最良のプラットフォームを提供する

かつてはパソコン操作で手間取ったのに、いまはタブレットを難なく使える。その違いがどこにあるのかといえば、おそらくデジタル環境の差なのだろう。ユビキタス社会といわれるが「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」がコンピュータネットワークにつながっている。いまの子供たちは、それを当然のこととして、スマホなどのサービスを利用している。いわゆる情報リテラシーは格段に進歩してきた。

むしろ問題は教員だという懸念さえある。だが、彼らもICTの導入については研修を受けているし、パソコンやタブレットの扱いには問題はないだろう。要は、創造的な授業への意識改革が必要なのだが、“百匹目の猿”の話を思い出せばいい。1頭の猿がイモを洗って食べるようになり、同じ行動をする猿が100匹に達すると、それが群れ全体に広がるという。つまり、そんな教員が何人か出れば、後は時間の問題だと筆者は感じた。

「当社にとっては、学びの場に最良のプラットフォームを提供していくことが役割だと認識しています。もちろん、現状がベストとは考えていません。確かにこれまでは、さしたる成果が生まれなかったかもしれない。しかし、教育の情報化が叫ばれてから約30年が経過し、ICT活用の条件はほぼ整いました。もし、ここでも失敗したら、日本の教育は欧米だけでなくアジアのデジタル先進国にも遅れを取ってしまいかねません」

この大久保社長の覚悟が、同社の戦略を示唆している。創業以来、100年に渡って蓄積してきた技術と人脈を将来に向かって生かすということだ。その一例が「ニューエデュケーション・エキスポ」である。内田洋行が実行委員会事務局を務めて開催してきたもので、今年で19回目を数えた。産学官界から多彩な講師陣を招き、教育の現状と未来を考える日本最大級の教育関係者向けセミナーおよび展示会だ。

このイベントの目的は、端的にいって教育界の底上げにほかならない。そして、そこで出た成果は全員で分かち合おうということである。当面は少子化が進むとはいえ、教育は依然として成長分野のはずだ。しかもそれは国の発展の根幹を担う。その意味でも、今回のICT活用は成功させなければならない。そんな待ったなしの状況だからこそ、内田洋行が蓄え続けてきた底力が発揮されるチャンスなのである。

(尾崎三朗=撮影)
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