「ちょっと助けてもらえますか?」

では、ベビーカー女子問題をどう解決するか? に論を移しましょう。

第一の理由による「助けない問題」については、デンマーク人の友人Jordanが言ったアドバイスをそのまま引用します(その意見に深く賛同したからです)。

「日本の女性は、日本の男性に『すみません、ちょっと助けて貰えますか?』って言えばいいんだよ」

とはいえ、赤の他人に「助けてください」とは言いづらいですよね。でも、ここからの話を聞いて、私はそれでもやってみる価値があるかなと思いました。

「日本人は基本的に優しいから、『助けてください』と言ってくる人を素通りすることはない。絶対に助ける。それに、日本人の男性はシャイでしょ? だから、積極的に女性を助けたりすると『アイツ、何、気取ってるんだ』とか思われる。それが嫌で、日本人男性は見て見ぬふりをしている。だから、女性のほうから男性に親切にするキッカケを作ってあげればいいんだよ」

なるほど、と首肯できる話です。

ちなみに、彼曰く、英語にはこんな諺があるそうです。

「Walk in someone else's shoes」

直訳すると、「他人の靴をはいて歩く」ですが、「人と同じ立場に立つまでは、その人を批判してはいけない」という意味なのだそう。

もしかしたら、ベビーカー女子の「ちょっと助けてもらえます?」の一言は、男性側に子育て中の女性がどのような境遇にいるかを知らせる、いいキッカケになるかもしれません。

そしてもう一つの理由、「長時間労働」についての対策です。

これはもう、個人の努力でなんとかなる問題ではありません。まず、会社側が従業員一人一人の職務は何かを明確に示すことが重要だと思います。

そうではない限り、先述した通り、たとえ規定時間内に仕事が終わったとしても、永遠と別の仕事を振られ続けてしまうからです。

さらに、ノー残業運動を会社の方針として進めていくこともまた欠かせないと思います。

佐藤留美
1973年東京生まれ。青山学院大学文学部教育学科卒。出版社、人材関連会社勤務を経て、2005年、企画編集事務所「ブックシェルフ」を設立。20代、30代女性のライフスタイルに詳しく、また、同世代のサラリーマンの生活実感も取材テーマとする。著書に『婚活難民』(小学館101新書)、『なぜ、勉強しても出世できないのか? いま求められる「脱スキル」の仕事術』(ソフトバンク新書)、『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)、『人事が拾う履歴書、聞く面接』(扶桑社)、『凄母』(東洋経済新報社)がある。東洋経済オンラインにて「ワーキングマザー・サバイバル」連載中。