弱点を克服する努力をするだけでは成果は上がらない。自分の強みを知り、仕事の中心に据える人こそが爆発的なパフォーマンスを挙げるのだ。

自分の「強み」から最大限の価値を発揮するには

仕事のパフォーマンスを向上させるということは、己の弱みを克服することではないのだろうか。『Go Put Your Strengths to Work: 6 Powerful Steps to Achieve Outstanding Performance』 (2007)の著者、マーカス・バッキンガムによれば、その見解は正しくないようだ。優れたパフォーマンスを発揮する人は、自らの弱みではなく強みを見きわめて成長の土台とし、抜きん出るのだと彼は主張する。現在、バッキンガムは、カリフォルニア州で、強みを引き出すことをベースにしたコンサルティングやトレーニングを提供するマーカス・バッキンガム社を率いている。

では、強みとは具体的にどんなことをいうのか。自分がうまくやれることイコール強みではないと、バッキンガムは言う。「たまたま得意なことは、楽しんでいないかぎり消耗の原因になることがあり、ときに弱みとなってしまう」。

強みとは、自分に絶えず充実感とエネルギー、参加意識を与えてくれる労働活動のことをいう。バッキンガムが取り入れている調査によれば、強みを生かす仕事に就業時間のほとんどを使っている人たちのチームは、同じような仕事で、強みを生かしていない人たちのチームより高いパフォーマンスを発揮する。自分の強みから最大限の価値を生み出すためには、どうすればよいのだろう。

自らが生き生きする活動とは何なのか

強みを見きわめることは、本人にしかできないと、バッキンガムは主張する。「自らを生き生きさせたり消耗させたりする活動が何なのか、最もよく知っているのは自分自身だ。他人の意見を聞く必要はない」。

まず、就業時間中のあらゆる活動について、遂行前、遂行中、および遂行後に自分がどのように感じるか書きとめよう。何かを始める前に、それを期待し、活動している間は集中でき、遂行後に充実感や高揚感を感じるなら、その活動はおそらく自分の強みといえるだろう。

バッキンガムは次のようなやり方を提案する。白紙のノートを用意し、最初の数ページの中央に縦線を引いて左右2つの欄に分ける。各ページの左欄の一番上に「楽しかった活動」と書き、右欄の1番上に「嫌だった活動」と書く。1週間、自分が職務の中で行うあらゆる活動を毎日、どちらかの欄に振り分けて書き込んでいくのだ。

自分が行うすべての活動とそれが引き起こす感情を、そのつどできるだけ具体的に記録しよう。たとえば、「照明部門の売り上げ数字を分析したとき、胸が弾むように感じた」「社内報のために新戦略についての記事を書いていたとき、不安な気持ちにかられた」という具合だ。

このリストを作成したら、「楽しかった活動」の中から、自分の中に最もプラスの感情を呼び起こす活動を3つ選ぼう。その3つこそが、あなたの最も大きな強みなのだ。