国内外でカルテルが次々と摘発されているのをご存じだろうか。カルテル防止を担う独占禁止法の運用機関が、公正取引委員会である。この「経済憲法」の番人は、何を考えているのか。包まれたベールが今明かされる。

アメリカでは日本人が服役する事態も

――2013年3月に公正取引委員会委員長に就任してから1年余が過ぎました。この間、国の内外を問わずカルテル・談合の摘発が相次ぎ、日本企業を取り巻く環境が一段と厳しくなっていますが、現状をどう見ていますか。
杉本和行・公正取引委員会委員長

【杉本】企業活動がいかにグローバル化しているか、とりわけ欧米の競争政策がいかに厳しくなっているかを痛感しています。アメリカもそうですし、ヨーロッパもそうですが、「消費者の利益」ということを中心に据えて、競争制限的な企業の行動は利益を害しているという考えから、反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)に違反する行為の取り締まりを一層強化しています。日本は古来、“和をもって貴しとなす”を大事にする国民性が根づいていましたが、カルテル摘発は、その点が犯罪行為だと見なされるケースが増えています。これだけグローバル化した経済の下では国際的な基準に合わせていかないと、日本企業の存立にかかわる事態が起きないとも限りません。

――実際、摘発件数や刑罰はどうなっていますか。
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日本企業が高額の罰金を科せられたのは上位21社中9社!

【杉本】アメリカで摘発されたカルテル事件の罰金額上位20位を見てもわかるように、21社中、日本企業が9社と半分近くを占めています。最近はとくに自動車用部品メーカーの摘発が激増していて、この3年で摘発された企業27社のうち25社が日本企業で、罰金額の合計は日本円で約2366億円にのぼる。しかも、自動車用部品カルテルでは32人の日本人が刑事訴追され、このうち23人が禁錮・罰金刑を科されて、アメリカで服役するような事態になっています。