2014年7月12日(土)

たった「1錠」で始まった認知症状「危険な週末」

介護ドキュメント 親を看取るということ【8】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
相沢 光一 あいざわ・こういち
ライター

1956年生まれ。月刊誌を主に取材・執筆を行ってきた。得意とするジャンルはスポーツ全般、人物インタビュー、ビジネス。著書にアメリカンフットボールのマネジメントをテーマとした『勝利者』などがある。

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相沢光一=文
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睡眠薬の服用を境に認知症の症状が出始める

訪問看護が週2回、訪問入浴とマッサージ、ホームヘルパーが各1回ずつと、月曜から金曜までの平日5日は介護サービスが入ることになりました。

それぞれのサービスは1時間程度で、1日の大半は私が介護をしているわけですが、それでも日に1回、介護の専門家が来てくれるのは心強いもの。父(89)もそのサービスを受けることに安心感があるようでしたし、その都度聞く父の状態や、それに対する介護のアドバイスは頼りになりました。

しかし、土日は彼らは来ないため私が判断して介護をしなければなりません。

父が寝たきりになった当初は介護サービスを受けておらず、ひとりで介護をしていたのですから、その頃のことを考えれば何てことはないのですが、彼らの来ない土日はなんとなく不安で、「この2日間をなんとか無事に乗り切りたい」という意識になっていました。

そんな土日を控えた金曜の夜のことです。

例によって携帯電話で呼ばれて父の寝室に行くと、父はこう言いました。

「以前、医者に処方してもらった睡眠薬があるから飲ませてくれ」

この時点の父は、まだ昼夜が逆転しており夜眠れない状態が続いていました。眠れずに過ごす長い夜、自由が利かないからだのことを考え、不安になるのでしょう。夜中の2時だろうが3時だろうが些細なことで私を呼ぶ状態にありました。

これまで睡眠薬を要求しなかったのは、以前(寝たきりになる前)服用した時、意識が朦朧としておかしくなったからだそうですが、これで眠れれば問題が解消されるわけです。

私は言われた通り、処方薬が入ったケースから睡眠薬を探し出し、1錠を服用させました。薬が効いて眠りにつけたようで、その夜は一度も呼び出されることなく、私も久しぶりにまとまった睡眠をとることができました。

翌日の土曜の朝7時、いつも通り血圧と体温を測るために寝室に行くと、父はまだ眠っていました。

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