1億を稼ぐのにマニュアルがないのと同様、話し方にもマニュアルなどない。だが、とてつもなく稼ぐ人たちには、間違いなく共通点がある。富裕層を顧客に抱えるカリスマが、経験を通じてつかんだ彼らの個性と魅力、言葉に宿る宗教観を分析する。

(※暗黙知【1】~【5】はこちら http://president.jp/articles/-/12508)

暗黙知【6】――数字や具体例を交えているか?

オフィシャル代表取締役 
江上 治 

有名スポーツ選手から経営者まで年収1億円を超えるクライアントを50名以上抱える富裕層専門のカリスマ・ファイナンシャル・プランナー。

数字や具体例の使い方がうまいのも、「稼ぐ人」に共通する特徴です。

たとえば小久保選手なら、野球の話を数字に置き換えて語ることができます。野球ファンの層の厚さを伝えるのに、彼はこう表現しました。

「福岡ソフトバンクホークスの本拠地であるヤフードームの観客動員数は3万人。年間144試合あることを考えると、自分たちを応援してくれるファンは年間で400万人以上いる」。

またあるカリスマ美容師は、「なぜそんなに人の心が読めるのか」と質問されて、「これまで10万人以上の女性の髪を切ってきたから」と答えました。このように、数字で語ることで具体性が増し、相手への訴求力も強まります。「稼ぐ人」はこのことを自然に実践しています。

一方で、会話のなかで「すごい」などの抽象的な言葉を連発するのは、「稼げない人」の典型です。「すごい」ではどれだけすごいのか伝わらないばかりか、曖昧な表現に逃げることになります。

コミュニケーション能力とは、相手に理解してもらえるように伝える能力ともいえます。そのためには、わかりやすい例えを使って話すことも大切です。