2014年3月24日(月)

「部下は叩いて伸ばす」という思い込みに潜むリスク

PRESIDENT Online

著者
鳥居 勝幸 とりい・かつゆき
サイコム・ブレインズ会長

鳥居 勝幸1955年、愛媛県生まれ。西南学院大学商学部卒。富士ゼロックス、リクルートを経て、86年にブレインズ(現サイコム・ブレインズ)を設立。企業の人材育成と事業組織の強化を、研修とコンサルティングによってサポートする。主な著書に『営業の仕事が面白いほどわかる本』『いつでも結果が出せる営業』『社長が意図した売上計画を完全達成する6つのツボ』など多数。

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鳥居勝幸=文

「部下のよい点ノート」が原点

私自身、思い出してみると、社会人になって叱られた覚えがあまりありません。では出来のよい社員だったのかというと疑わしい。営業成績は悪くありませんでしたが、ビジネスマンとしては未熟だったはずです。おそらく上司が、叱られていると感じさせないように叱ってくれていたのではないかと思います。

その頃、私は富士ゼロックスとリクルートで営業をやっていました。2社とも甘い会社ではありません。むしろ厳しい営業をやることで有名でした。なにしろネット環境がない時代です。新規開拓では飛び込み訪問が当たり前。日に40社位訪問しても1社の見込み客も見つからない。1社のアポを取るために100社に電話をかける。その仕事は楽しいかと聞かれたら辛いと言うしかありません。

しかし尻を叩かれながら働いたという意識はありません。ではなぜ目標達成を続けられたのかというと、人に認められたかったのだと思います。あの当時の私は褒めてもらうと嬉しくなってまた働きました。私の上司たちは未熟だった私を、歯を食いしばって褒めてくれていたのでしょう。本当に厳しい組織というのは、笑顔で難度の高い仕事をやらせる組織だと思います。

その後、私は起業して現在の研修会社を経営するに至っています。会社をつくって間もない頃は社員の採用で苦労し、やっと採用した社員が見込み違いで(たぶん社員の方も見込み違いで)採用と退社を繰り返し、業績が伸びずに喘いでいました。そのような時期に、私は以前の上司に会って部下たちに対する愚痴をこぼしました。その人は「家に帰って部下のよい点を一人ひとり全部紙に書き出しなさい」と言いました。その助言に従って、家で3時間かけて部下のよい点をノートに書きました。このことは、その後の私の言動に少なからず影響を与えました。

たとえ業績が芳しくない部下でも、自分がある一点において認められていると感じるだけで、上司の言葉に耳を傾けることができます。上司は部下の強みを声に出して言わなければなりません。そのために、上司は部下の強みを書いて整理するくらいでないと、部下を認識できません。

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