地主の承諾を得ない設備認定が横行

彼らのように、信用力やプロジェクトの組成能力のある事業主体が進める案件ばかりならいい。しかし、メガソーラーがバブル状態で、まさに“砂上の楼閣”にすぎないことを証明するデータが明らかになった。先ほど12年7月にFITがスタートしてから13年7月末までで、10キロワット以上の発電所の設備認定が2031万7000キロワット分あったと紹介したが、このうち実際に発電を開始しているのは239万5000キロワット、全体のわずか11.8%分しかないのだ。

その一番の原因について、太陽光発電事業のコンサルティングにも携わっていて現場の事情に詳しい立命館大学大学院客員教授の村沢義久は、「土地の手当てができていないまま設備認定の申請をしたものが多い。FITスタート当初は、地主の承諾がなくても申請ができ、経産省もそれをスルーさせてきた。ある土地では地主が知らないまま、3つの発電事業者による設備認定がバッティングしていたこともあるくらいだ」と指摘する。

メガソーラーでは1メガワット当たり1~1.5ヘクタールの土地が必要になる。FITの導入が決まるとメガソーラーに適した土地の賃借料の相場は急騰し、「1平方メートル当たり年間150円が平均だったものが、いまでは200~250円でようやく借りられるような状態。10メガ規模のメガソーラーを複数手掛ける発電業者のなかには300円で契約したところもある」(EPC関係者)。とにかく早い者勝ちで設備認定を取ってしまおうという動きがあったのか、村沢が続けて語る。

「結局、自分たちで発電所をつくるのではなく、初めから転売目的だったところが数多く紛れ込んでいた。わかりやすくするため税抜きで買い取り価格を見てみよう。12年度が40円で13年度は36円。その差額の4円で、通常だと1メガワット当たり年間の売電収入に400万円の違いが出てくる。それが20年間続くと8000万円もの差になる。現在価値に割り引く必要があるものの、4000万円なら買ってもいいという人が出てきてもおかしくない。そこが狙いなのだ」