同じメガソーラーの売却でも、中堅・中小企業のオーナーをはじめ、お金に余裕のある個人投資家への分譲販売を初めて手掛けたのが、アドバンス社長の渋谷君美義だ。渋谷は屋外広告の企画施工会社であるジェイエスピーを24歳のときに創業して業界大手に育て上げ、息子に経営を譲った後、12年6月に同社を立ち上げた異業種からの参入組。「ソーラーオーナーズ」のブランドで分譲する1区画の発電電力は50キロワットが基本だ。

群馬県にある同社8番目のプラント「ソーラーオーナーズ沼田・上古語父」の1区画当たりの販売価格は2800万円から。13年度の新しい買い取り価格である37円80銭(税込み)が20年間保証され、その間の平均値で見た年間の売電収入は192万3707円で、分譲価格に対する予想投資利回りは6.87%に達し、こちらの人気も高い。

「13年は日射量が想定を上回り、購入者にボーナスをもたらすことができた。すでに20カ所で設備認定を受けている。これまで先行して分譲を開始した6カ所のソーラータウンはすべて完売。会社の業績も創業1年目で10億4000万円の売り上げ、1億800万円の最終利益を出した。これからさらに開発にスピードをつけていきたい」と渋谷はいう。

また、外資系企業の参入も始まった。これまで500億円以上のファイナンス(資金調達)を行い、北米、南米、欧州などでメガソーラーや風力発電のプロジェクトに携わってきたアメリカの投資顧問会社グリーンパワーキャピタル(GPC)と、ドイツの太陽光発電事業会社であるワーソルソーラーが共同で、13年5月から日本国内での「メガソーラー・パートナー・プログラム」を開始した。

このプログラムは、10メガワット以上の出力規模のメガソーラーを計画している土地所有者やデベロッパーに対して、ファイナンスとともに、EPC、運用管理などのサービスを提供するもの。最終的に出来上がったメガソーラーは日本国内の企業へ売却する。「買い取り価格の水準にもよるが、7~8年目で初期投資を回収できる。すでに岩手で22メガワット規模のプロジェクトが動き始めており、14年は合計で240メガワット規模のプロジェクトを開発していきたい」とGPCのCEOを務めるディック・タルバートは語る。