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農産物輸出額ランキング
 漫画家、弘兼憲史の代表作の一つに『島耕作』シリーズがある。1983年に『課長島耕作』として「モーニング」誌で連載を開始。主人公は出世を重ね、2013年からは『会長島耕作』として連載が続いている。弘兼は島耕作を会長にした際、ローソンCEOの新浪剛史の言葉が浮かんだという。
「社業は社長に任せて、日本経済のために何ができるか考えるべき」
 新浪は13年から安倍晋三首相を議長とする「産業競争力会議」の民間議員を務めている。会議は4つの分科会にわかれており、新浪はその一つである「農業分科会」の主査である。経営者として多忙な日々を送るなかで、なぜ積極的に農業へ関わるようになったのか――。

九州ほどのオランダは世界2位の農業大国

【弘兼】会長になった島耕作は、会社経営を社長に譲り、財界活動に力を入れています。最大のポイントは農業問題。新浪さんの話がヒントになりました。なぜ農業に興味を持ったのですか?

【新浪】ローソンで野菜を売ろうとしたときですね。スーパーマーケットと同じ野菜を並べても差別化できない。よりよいものを探す過程で、農業の実情を知るようになりました。

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世界2位の農業輸出国オランダ

【弘兼】私が農業について調べて、びっくりしたのが、オランダは農産物輸出額でアメリカに次ぐ世界2位だということ。オーストラリアやロシアといった広大な国土を持つ国ならともかく、オランダは九州ぐらいの大きさで、農地面積は日本の約4割でしかない。10年の資料によると、花卉(チューリップ等)、じゃがいも、トマト、たばこの世界シェアは1位、キュウリ、キノコ類、ビールは2位、チーズは3位、牛肉は4位という農業大国です。

【新浪】耕地面積が狭いので、広大な土地を必要とする小麦等の穀物の割合が極めて低いのが特徴ですね。