スマホがコモディティー化していく

サムスン減益の主な原因は、スマートフォン(スマホ)の減速と見られる。スマホ市場が成熟化してきた中で、米アップル社の復調と低価格スマホを主力とする中国メーカーの追撃が響いた格好だ。

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サムスンのセグメント別業績(単位: 兆ウォン)

ただし、サムスン電子にも構造的要因がある。図は「サムスンのセグメント別業績」である。これを見ると同社の売り上げが、スマホを中心としたIT・モバイル部門に偏っていることがわかる。デバイスはスマホにも使われている半導体のことで、それら含めたスマホ関連の売り上げが全体の8割を超えている。逆に家電部門は低迷、テレビ事業に至っては「赤字」だ。

こうした過度のスマホ依存体質が、今やサムスン電子の最大のウイークポイントになっている。以前から指摘しているように、デジタル化の宿命として「スマホがコモディティー化していく」のは避けられない。近い将来には1万円台、さらに5000円くらいまで低価格化が進む可能性がある。

今後、スマホのマーケットの中心は新興国や途上国に移っていく。そこでは基本性能だけ備えて追加機能はアプリで対応するという形の“低価格スマホ”が主流になっていくだろう。そうなったときに、サムスン電子のコスト体質で「5000円スマホ」に対応できるのか、私には大いに疑問である。

それではスマホに代わって収益源になりうる事業が育っているかといえば、それも外からは見えてこない。

そもそも、これまでにサムスン電子がオリジナルで作り出したユニークな商品が何か一つでもあるかといえば、何もない。

日米の半導体摩擦が激化した1990年代初頭、日本は半導体の20%を輸入しなければならなくなった。しかし当時、アメリカで作っていた半導体はもっぱら軍事用だったし、インテルやテキサス・インスツルメンツなどはすでに日本で生産していたので輸入扱いにならない。

日本企業は窮余の一策として韓国企業にノウハウを伝授し、韓国製の半導体を輸入することにした。これをきっかけにしてサムスン電子は半導体事業で急成長を遂げ、後に日本の半導体産業は韓国に寝首を掻かれることになる。

半導体事業で躍進したサムスン電子は余勢を駆って、(ソニーと合弁の)液晶パネルや薄型テレビなどに大規模投資を行って家電分野の世界シェアを広げていく。一方では携帯電話事業ではGoogleのアンドロイドというフリーウエアに出合ってアンドロイドOSを搭載したスマホを開発、スマホブームに乗って一気にブレークした。

リバースエンジニアリングで先行商品を徹底的に分解、分析し、日本企業などから技術とエンジニアを人馬一体で引き抜いてくる――。そうやって先行商品に追い付き、巨額な広告宣伝費を投じて追い抜いていくのがサムスン電子のビジネスモデルなのだ。