女性の年金は変化が激しい

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国民年金、厚生年金、共済年金のしくみ

公的年金でさらにやっかいなのは、図のように「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」という区分があるところ。特に女性の場合、結婚や出産で退職したり、再就職したりしたりするときに区分が変わることがあるので要注意だ。

たとえば会社を辞めて専業主婦になる場合。退職するときに厚生年金を辞める手続きをすると、公的年金に加入していない状態になる。そこで、夫が会社員なら、夫の会社で国民年金の第3号被保険者に変更する手続きをしてもらう。夫が自営業なら、自分で市区町村の窓口に行って国民年金の第1号被保険者へ変更する手続きが必要だ。

この場合、夫が会社員の場合は保険料負担なし(保険料は厚生年金加入者全員で負担する)。同じ専業主婦でも夫が自営業なら、国民年金保険料を自分で払うことになる。このあたりは不平等感があるので、第3号被保険者に保険料を負担してもらうかどうかが議論されている。

さて、その後に会社員の夫が脱サラして自営業になったら? 専業主婦の妻は夫とともに市区町村の窓口で国民年金の第1号被保険者へ変更する手続きをして、以後は2人とも自分で国民年金保険料を払う。

では、第3号被保険者の専業主婦が仕事を再開したら? 会社員に復帰したときは再び厚生年金に加入。パート勤めで社会保険に加入しない働き方なら第3号被保険者のまま。フリーで仕事を始めたときは、年収が社会保険に加入する水準を超えたら自分で国民年金の第1号被保険者になる手続きをする。

こうした手続きを忘れていると、将来受け取る年金が減ってしまったり、もし加入年数が受給資格期間に足りなくなれば、年金をまったくもらえなくなる可能性もある。自分だけでなく夫の働き方によっても加入のしかたが変わる点に注意が必要だ。

加入のしかたが変わるときは、保険料の払い忘れが起きやすい。一時話題になった年金記録ミスも、こうしたときに多発している。退職、転職、再就職の経験がある人は、自分の年金記録を確認するのがおすすめだ。日本年金機構の「ねんきんネット」(http://www.nenkin.go.jp/)に登録すれば、いつでも詳しい年金記録を見ることができる。

また、学生時代に親が国民年金保険料を払ってくれていたのに、自分はそれを知らなかったというケースもあるから、機会を見て親に聞いてみるといいだろう。