会社勤めが1年でも厚生年金を受け取れる

前述したように、老齢年金を受け取るには現在、「加入25年以上」という条件がある。結婚や出産まで会社に勤め、その後は専業主婦やパート勤めに変わる女性は多い。この場合、会社員時代の厚生年金はどうなるだろう?

「厚生年金は25年以上加入しないとはもらえないのでは?」と思っている人もいるが、厚生年金や国民年金などと合わせて、公的年金制度に加入していた期間が受給資格期間を満たせば老齢年金を受け取れる。老齢年金を受け取れる人なら、厚生年金の加入が1年でも、その分は年金に上乗せされる。「払った分がムダになる」ということはない。受給資格期間は2015年10月より現在の25年から10年に短縮される予定なので、注目しておこう。

忘れがちなのは企業年金。自分の会社に企業年金制度があるのかどうか、知らない人も少なくない。もしそうなら、1度はきちんと確認しておこう。また、以前勤めていた会社に企業年金制度があったかもしれない。この場合は、勤務していた会社に問い合わせてみるといい。企業年金を受け取るときは、厚生年金や国民年金とは別に手続きをしなければならない。知らないでいると、将来、年金は受け取れないままになってしまう。なお、勤務期間が10年未満の場合は企業年金連合会に問い合わせる方法もある(http://www.pfa.or.jp/)。

「公的年金制度なんて、どうせ変わっちゃうんだから知ってもムダ」と思う人もいるだろう。確かに年金制度の状況は厳しく、老齢年金を受け取る年齢が引き上げられたり、受け取る金額がますます少なくなるのはまず間違いない。

とはいえ、年金制度がまったくなくなったり、すべてをシャッフルして初めから作り直すのでない限り、これまで加入して保険料を払ってきた実績は残るはずだ。特に会社員は毎月、高額の年金保険料を払っている。自分の権利を守るためにも、公的年金制度を知らないままでいるのはもうやめよう。

マネージャーナリスト 有山典子(ありやま・みちこ)
証券系シンクタンク勤務後、専業主婦を経て出版社に再就職。ビジネス書籍や経済誌の編集に携わる。マネー誌「マネープラス」「マネージャパン」編集長を経て独立、フリーでビジネス誌や単行本の編集・執筆を行っている。ファイナンシャルプランナーの資格も持つ。