つらい仕事は必ずあとで生きてくる

私の仕事道具:白いA4の紙と筆記具を必ず持ち歩く。頭の中にあることを絵や図に描いて整理する。サントリーの役員にもらったストレス解消グッズもデスクに置いてある。

今、十数年前の私と同じように現場で悩んでいる女性もいるでしょう。とかく20代は理不尽でつらい仕事が多いものです。でも、それは必ず後に生きてきます。私の20代はビジネスの筋トレの期間でした。地べたを這うような営業の経験がなければ、机上でプランを立てるばかりで現場の気持ちがわからない役員になってしまっていたでしょう。

へこみそうになったときはカッコよく生きている自分を思い描き、気持ちを強くしようと努力しています。半沢直樹のように、ここで部下を守れたらカッコいいよなとか(笑)。そうやって気持ちを持ち上げていかないと、つい“優等生の壁”にぶち当たって日寄ってしまうからです。

セミナーや講演会に呼ばれたときはなるべく出て行くようにしています。「苦しいけど一緒に頑張りましょう」「経験不足だとしてもビビらないで前に進みましょう」。そう言いながら、実は自分を鼓舞しているのかもしれません。

大下明文=構成 向井 渉=撮影