山口真由さん

山口さんの勉強法の最大の特徴を挙げるとするなら、基本書といえる教科書中心でありながら、最初から覚えようとせず、出題範囲の全体像をつかむことを優先し、続いて大見出し、次に小見出しという順番で細部を少しずつ頭に入れていくという点だろう。もう1つ気づかされるのは、定期試験はあくまで教科書の出題範囲から出されるという当たり前で、それでいて見過ごされやすい事実だ。問題集やドリルをやみくもに解くより、教科書の出題範囲だけに集中したほうが効率的で、より確実なのだ。ハイレベルの学生が集まる東大で、教科書一本で勝負した彼女が4年間162単位オール「優」という成績を取ったことが、何よりの証拠といえる。

ちなみに、司法試験やビジネス英語の勉強など、これといった教科書が決まっていないケースでは、「MY教科書選び」にとことんこだわるという。使える1冊を選び抜く。

「最初から最後まで読んで覚えるので、私にとっては網羅性がいちばん重要です。あと、あまりカラフルすぎると読みにくいので、2色刷りくらいが好みです」

ところで山口さんは、文章の行間を読み取って解答しなければならない国語の読解問題や、英単語や慣用句をその正確なスペルまで暗記しなければいけない英語の場合、どう勉強していたのだろうか。

「国語は、教科書よりも、むしろ授業ノートを同じ方法でひたすら読み込みます。ノートには先生が授業中に話していたポイントや、筆者がその文章で言いたかったことなどが書いてありますから。それを教科書の本文と見比べながら、繰り返し読んで頭に入れました」

英語の場合は、単語や慣用句を発音しながら、書いて覚えたりもした。「ただし、書き写したものは一切見ません。五感を使ってより効率的に覚え込むために、ただ手を動かしているだけですから。この方法は暗記科目の社会や生物や地学でも、必要に応じて使っていました」