さっそく、教科書を7回読む方法を、山口さんに解説してもらおう。

教科書の理解度を目安にすれば、その勉強法は3段階に大別される。

まず1回目から3回目までは「土台づくり」。彼女いわく「出題範囲の見取り図を作る」作業だ。4、5回目で理解度が飛躍的に高まり、6、7回目は、細かい部分まで含めた最終確認と山口さんは話す。

「1回目は意味をとろうとせずにサラサラッと読みます。大見出しだけを目で追うようにして、出題範囲の全体像を頭に入れるためです。この項目はこれぐらいの分量で、あの項目はこの程度かと、薄ぼんやりとつかむ感じです。そうすることで頭の中に出題範囲全体の見取り図をつくるんです」

1回目を読むとき、何より大切なのは内容を理解しようとしないこと。最初から丁寧に読んで理解しなければと考えると、「大きなストレスになるから」だという。

「意味にとらわれずにサラサラッと読むことで、『なぁんだ、この程度のページ数か』と、思うことができます。それが教科書を繰り返し読むことの面倒くささを、ある程度やわらげてくれるんです」

そういう読み方なら、誰にでもまねできそうだ。続いて、2回目もサラッと読む。すると、小見出しの語句くらいは頭に入ってきて、少しだけ意味がとれるようになる。彼女が言う出題範囲の「見取り図」が、やや具体的になってくる。

「3回目になると、同じようにサーッと読みながらも、たとえば世界史の教科書なら、『次のページの右端には、耳にピアスをしたチンギス・ハーンの写真があって、その左ページはこんな記述があったはずだなぁ』といった、見当がつくようになります。ページをめくりながら、自分のイメージ通りかどうかを確かめるような読み方になってきます」

3回目までは、あくまで「土台づくり」。だから、全体の理解度は2割程度らしい。回数を重ねることで、そこで築いた土台の上に、より具体的な教科書の情報を積み上げていく。いわば、「習うより慣れろ」式の読み方なのだ。

この勉強法の原点は、彼女が子供時代に、母親がしてくれた絵本の読み聞かせにある。両親ともに医師の家庭に生まれた彼女は、1歳違いの2人姉妹の長女。

「読み聞かせって、同じ内容を何回も繰り返し読むじゃないですか。すると、怖い絵の近くに怖い話が書かれていて、物語の起承転結を、絵とエピソードのワンセットでそれぞれ記憶しますよね。今から思えば、大事なものは何回も繰り返し読むものだ、そして読んでいるうちに覚えてしまうものだということが習慣として身につき、いつからか私の勉強法になっていったんです」