2013年11月27日(水)

なぜ理系に進学する女子が少ないか

PRESIDENT 2013年9月2日号

著者
大隅 典子 おおすみ・のりこ
東北大学大学院医学系研究科教授

大隅 典子1985年東京医科歯科大学歯学部卒。89年同大学院歯学研究科修了。歯学博士。89年同大学院歯学研究科助手、96年国立精神・神経センター神経研究所室長を経て、98年より東北大学大学院医学系研究科教授(現職)。訳書に『なぜ理系に進む女性は少ないのか?―トップ研究者による15の論争』(西村書店)。

東北大学大学院医学系研究科教授 大隅典子 構成=山川 徹
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100年前、東北大学が受け入れた日本初の女子大生は「理系」だった。しかし「フィールズ賞」を男性が独占しているなど、世界的に理系分野では女性より男性の活躍が目立つ。いったい男女の能力はどこまで違うのだろうか──。

女は男より頭が悪いのか

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大学生の「理系女子」は全体のわずか12%

13対1――。これは1983年にアメリカで行われた数学の学力調査で700点以上の高得点を獲得した13歳未満の子どもの男女の割合です。この結果だけをみれば「女子は数学が苦手なんだ」と感じるかもしれません。

たしかに日本の大学生のうち、「理系」の学部に在籍している女子は約12%。また「数学のノーベル賞」とも呼ばれるフィールズ賞の歴代受賞者はすべて男性です。数学や物理の分野で活躍する女性が少ないことは事実です。

しかし、それが「女子は生まれつき数学が苦手」という結論を導き出すかといえば、違います。

冒頭に紹介した学力調査では、2005年の男女比は4対1となっています。約20年の間に数学における男女の学力差は大きく改善しているのです。

また日本の中学2年生にあたる「第8学年」への数学の国際調査(02~03年)では、アメリカの女子の平均点は502点で、男子は507点。日本の女子は569点で、男子は571点でした。両国とも女子より男子のほうがわずかに高いのですが、注目すべきなのは、日本の女子の点数が、アメリカの男子をはるかに上回っていることです。つまり先天的な性差よりも、環境や教育、時代背景など後天的な要素のもたらす影響のほうが、より大きいのです。

もちろん男性と女性に生物学的な違いはあります。ただし、それは「違い」であり、「優劣」といえるものではありません。

たとえば男女では脳の構造に違いがあります。米ペンシルベニア大学のルーベン・C・ガー教授とラクエル・E・ガー教授は、「3次元の空間迷路」を解くときに、女性が頭頂部や前頭部をより使用するのに対し、男性は海馬システムにより多く頼っているとの実験結果を明らかにしています。

これは「心的回転能力」が男女で違うことを裏付けるものです。心的回転能力は、紙上の2次元の展開図を3次元の形に組み立てるなどのテストで測ります。このテストでは女性より男性のほうがスコアが高い。おそらく女性は物体の違いを意識的に処理しなければならないのに対し、男性は空間的・視覚的な手がかりをもとに自動的に処理することができるのでしょう。脳の構造が異なることで、ある問題の解答を導き出すプロセスが異なるのです。

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