2013年11月25日(月)

稲盛和夫が直言「伸びる人、立派になる人、いらない人」【2】

PRESIDENT 2012年8月13日号

吉田茂人=構成 小倉和徳=撮影
1
nextpage
課題発見力、判断力、説得力――大復活のJAL社員は、何を学んだか。

まずは人間としていかにあるべきか

稲盛和夫 
1932年、鹿児島市生まれ。59年京セラ設立。2000年KDDI設立。10年JAL会長、12年より同名誉会長。

私は、経営者という者は企業のリーダーとして「人間としてまず何が正しいのか」ということを判断基準にしなければならないと考えています。経営判断をする場合、一般的な考え方としては「損得」という利害得失で考えがちですが、真の経営者は「善悪」という基準で判断すべきなのです。しかし、善か悪かを判断するにはまず立派な人間性を持っていなければなりません。

そこで「人間としていかにあるべきか」というところまで遡(さかのぼ)って考える必要がでてきます。こうすれば、うちの会社にとってのみ都合がよく、儲かるというようなことがあったとしても、人としていかがなものかと思ったときには、それは決して選ばない。そのくらいの勇気が真の経営者には必要になるのです。

言い換えれば、目先の利益ではなく、「利他の心を判断基準にする」ということです。私たちの心にはもともと「自分だけがよければいい」と考える利己の心と、「他によかれかし」と考える利他の心があります。利己の心で判断すると、自分のことしか考えていないので、誰の協力も得られません。

自分中心ですから視野も狭くなり、間違った判断をしてしまいます。一方、利他の心で判断すると「人によかれ」という心ですから、周りの人みんなが協力してくれます。また、視野も広くなるので、正しい判断ができるのです。ですからよりよい仕事をしていくためには、自分だけのことを考えて判断するのではなく、周りの人のことを考え、思いやりに満ちた「利他の心」に立って判断すべきなのです。

しかし、多くの経営者は、どうしても自分の都合のいいように判断をしてしまいがちです。利害関係のないときには正論を吐き、立派なことを言っている人が、いざ自分の損得が絡むと態度が一変してしまう。そんな人はリーダーとしての資質を欠いています。一見自分に不利と思えるような状況にあっても「利他の心」を持って正しい判断ができることが本物のリーダーの条件です。

PickUp