2013年11月12日(火)

男の娘の深層心理

秋葉原☆マネタイズ【第33回】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
梅本 克 うめもと・まさる
デジタルハリウッド大学客員准教授 Ph.D.(経済学)

梅本 克

1967年生まれ。1998年、ヴァンダービルト大学(米国テネシー州)卒。米国留学時より少女漫画の翻訳活動を通して日本文化の普及に努め、2005年にアジアアニメーション産業組織体(AAO)を立ち上げて、アジア各地でコンテンツ産業の育成や若手クリエイターの支援を行う。これまで国内外で多くのアニメ、ロリィタファッション、ヴィジュアル系など、日本のポップカルチャーに関わるイベントをプロデュースし、現在は秋葉原に活動拠点を置いて、新しい文化の創造と発信を通した地域活性化プロジェクトに携わる。趣味は仏像鑑賞とコスプレプロデュース。柔道二段と茶道石州流奥傳の資格を持つ。主な関心は秋葉原における趣味文化の経済学。

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梅本 克=文(デジタルハリウッド大学客員准教授)
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ニューハーフとは何が違うか

「おもしろい情報がほしいな」(コスプレイヤー=みるる、撮影=YU-SUKE)

皆さんが子どものころ、学校や近所に女の子っぽい男の子がいた記憶はないでしょうか。私は中学、高校と男子校に通っていたのですが、一学年に一人や二人は、仕草や雰囲気が女らしく、見た目も女の子のような男の子がいました。彼らが女装した姿を見たことはありませんでしたが、きっとよく似合うだろうと想像していました。

外見や雰囲気が女の子のような男性は最近、「男の娘(おとこのこ)」と呼ばれています。私が子どものころと違い、「男の娘」たちはじょうずなコーディネートで女の子のように装うので、男性だと気づかないこともあります。「男の娘」は見た目が女の子のようであれば、実年齢は関係ありません。知りあって10年近くになる私の友人の「男の娘」は、見た目はずっと変わらず、女の子のままです。

「男の娘」と似て非なる女装男性に、「ニューハーフ」と呼ばれる人たちがいます。「ニューハーフ」は、職業として「女らしさ」をアピールする男性のことです。「ニューハーフ」には、普段から女っぽい男性もいれば、仕事のために女らしく演じている男性もいます。

「ニューハーフ」は、上野や新宿のゲイタウン(男性同性愛者向けの店舗が集まる地域)で、女装する男性を好む男性客向けの店舗であることを明示するために、1980年代から使われた言葉です。そのため、「ニューハーフ」が表現する「女らしさ」には、性的な雰囲気が漂います。

それに対して「男の娘」は、メイドカフェが流行していた2000年代中頃の秋葉原で、見た目が女の子のような男性がメイドさんに扮したイベントから派生した言葉です。そのため「男の娘」には、メイドさんのような「萌え」や「可愛らしさ」、つまり大人の女性らしさではなく、女の子らしさが重視され、性的な雰囲気は抑えられています。

私が知る「男の娘」たちに限って言えば、身体は男性であり、自分は男性だという認識もあります。恋愛対象も、異性である女性です。つまり彼らは、私たち一般男性となにも変わりがありません。言葉づかいも、女言葉を話すわけではありません。

それでは、なぜ「男の娘」たちは女装をするのでしょうか。

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