2013年11月8日(金)

女高生殺人で注目“リベンジポルノ”への米欧の対応

NEWS FILE

PRESIDENT 2013年11月18日号

フェイスブックで知り合った男女が、別れ話のもつれから殺人に至った三鷹女子高生殺人事件。男は犯行6日前にツイッターで彼女のヌード写真や動画をばらまいた。同情論が大勢を占めたが、「何でこんなものを撮らせたのか」という意見も少なからずあった。以前からネットでは被害者が加害者のごとき扱いを受けたり、精神的に追い詰められることが多い。こうした事態はまずいと誰もが思いながらも、わが国では放置されてきた。

今年10月、米国カリフォルニア州で、リベンジポルノ(別れたパートナーの猥褻な画像や動画などをネット上に晒す行為)に刑事罰を科す法律が成立した。今までは合意の上で撮影された写真では、罪に問うのが難しかった。この法律では、撮影時に合意があっても悪意を持ってネットで公開し、本人に精神的苦痛を与えれば犯罪となる。

個人情報の保護より表現の自由、個人情報の活用に積極的な米国では、どちらかと言えば規制に消極的だった。フェイスブック、ツイッターなど大手ソーシャルメディア企業はすべて米国系である。

一方、個人情報保護に危機意識の強いEUでは、厳しいルールづくりを進めている。ネット上に公開された個人情報の削除を義務づける「忘れられる権利」がそれだ。フランスでは女性が過去の写真消去を求めて提訴、グーグルが敗訴した。国際自動車連盟前会長が自らの画像の検索結果からの削除を求めた訴訟が、現在各国の裁判所で進行中だ。

わが国は米国とEUに挟まれ、議論の行方を見守るだけで、世界をリードするような理念や価値観を打ち出せずにいる。米国ではリベンジポルノの専用サイトが問題となったが、日本では画像投稿掲示板が無数にあり、その多くがポルノ合法の海外にサーバを置き、法の抜け穴を利用して有料で運営されている。無論、画像を晒された本人は、その存在すら知らないのが現実だ。

SNSの拡散スピードに追いつかない、拡散中に複製をされて裏ルートで流通する、その有害サイトが海外にある、という現状下では、国内法で取り締まるには限界がある。有害情報を見つけたら通報する、その削除窓口を誰でも使えるように簡単にする、情報共有できる国際機関をつくるなど、日本が世界をリードできる局面はあるはずだ。

PickUp