2013年10月28日(月)

辻本昭夫「電子部品」仕入れでの冒険

デジタル時代の重要人物に訊く「実践マーケティング戦略」第5回

PRESIDENT Online スペシャル

文=三田村蕗子 撮影=松田健一
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「おもしろい」で仕入れたら、他社は仕入れなかった

辻本昭夫さん(略歴は第4回
http://president.jp/articles/-/10921
参照)。

1970年代から80年代にかけて、秋月電子通商の主力商品であるICは時計IC、ラジオICといった専用ICの時代から汎用ICの時代へとシフトする。専用ICが次々に廃番になり、辻本昭夫氏は悩んだ。これではキットもつくれない。どうするか。辻本氏は、マイコンにプログラムを書き込んで専用ICと同様の機能を付加できる「書き込み機」の仕入れに踏み切った。

【辻本氏】専用ICがなくなって、お客さんもみんな困っちゃったんですよ。私もたくさん仕入れなくてはいけないのにどうしようかと思ったら、そうか、プログラムすればいいんだと考えた。周りは、マイコンなんてと思っていたみたいですけどね。ただ、メーカーの純正品は何十万もしたので、とても趣味レベルでは手が出ない。そこで、メーカーに頼んでオリジナル製品の書き込み機を起こし、5000~6000円程度で発売したんです。これは売れましたね。

でも、バグも多かった。時計をつくったら遅れちゃったり。カウンターもしくじったしね。そのうちにメーカーがICを売るために書き込み機を安く出すようになったので、オリジナルの売り上げは激減しましたが、そのかわりにメーカー純正の商品を販売するようになりました。

メーカー純正品の中で、爆発的な大ヒット商品となったのが、PIC(Peripheral Interface Controller)。マイクロチップ社が開発したプログラム書き込み機だ。しかし、導入当初はヒットの兆しなど少しも見えなかったという。

【辻本氏】PICは店を始めてから15年後ぐらいしてから始めたのかな。ウチで数十万台売りましたね。でも別に独占で売っていたわけじゃないですよ。私はおもしろいなと思って仕入れたけれど、ほかは誰も買ってなかったの。ただ最初、売上はまったく動きませんでしたね。店にコーナーをつくったのに日にひとつも売れなかった。

でも、絶対いずれは主流になるだろうと思いました。だって、みんな途方に暮れていたんですから。トランジスタ技術という雑誌に7ページも広告を出してね。広告宣伝は一所懸命、やりましたよ。日本は世界で開発ツールがもっとも売れる国ですが、その開発ツールを一番小売しているのはウチですね。

これからの主役はマイコン以外ないじゃないか。辻本氏は素直にそう考え、行動に移した。読みと行動力が秋月電子の売り上げを飛躍的に伸ばしていった2001年、辻本氏は新たなチャネルに挑戦する。オンラインショップである。 

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