「企画会議がある日は憂鬱です。企画のアイデアですか? 干からびてます……」
プレジデント誌の編集部員である内林大士くんは、若手編集者らしからぬ溜め息をつく。このままでは将来が心配だ。
半ば強制的に『ウケる!アイデア術』の著者で放送作家の田中イデアさんに入門。
「ご安心ください。大喜利を応用すれば、企画を次々に出せるようになれますよ」
頼もしく引き受けてくれる田中さん。大喜利とは、落語家や芸人が共通のお題に答えを出し合い、センスを競う遊びだ。お題も答えも面白い。確かに、大喜利のように次々とアイデアが浮かべば苦労しない。素人にも可能なのだろうか?
田中さんによれば、4つの能力さえ押さえれば「大喜利思考」を身につけることができる。疑問力、発想力、解決力、実現力だ。
まずは疑問力。常識を知り、それを疑うことで「お題」を自らつくり出す力だ。
「何でもいいので知りたいことや気になることを挙げてください。この段階では『プレジデント』らしさを考えなくてかまいません」
アイデア出しのとっかかりをつくろうと優しく提案してくれる田中さん。しかし、内林くんは「うーん」と考え込んで早くも沈黙。やっと出てきたのは「ホイットニー・ヒューストン」のみ。仕方ないので編集部内の新聞や雑誌を大量に持ち込み、パラパラめくりながら気になった言葉を拾うことにした。
家電メーカーの不調、マヤ暦、年金、ファストフード、女子アナ、女性の脚と靴、『桜通信』(成人向けのアニメマンガ)……。焦るあまり、なぜかエロに走る内林くん。気は確かか。しかし、田中さんは叱らない。
「いいんですよ。アイデアを出す以上、興味を持てることが大前提です。次の段階で企画内容を『プレジデント』に寄せていけばいいのです」