ドル・コスト平均法

積立を続ける、つまり買い続けることの強さを深掘りしましょう。

積立とは、株価(価格)の動きに左右されずに、淡々と、決まった金額(定額)を、決まったスパン(定期=私は毎月を推奨)で積み立てる投資戦略です。価格が安いときにたくさん購入し、価格が高いときに少なめに購入することになります。ならすことでリスクを減らす効果があります。これを「ドル・コスト平均法」と言います。

次のグラフをご覧ください(図表2)。これは仮想の投資信託シミュレーションで、縦軸の数字は投信の1口あたりの価格で、時期によってそれが変動していることを表しています。分かりやすさを優先して、始まりは1口100円という価格にしました。

【図表2】投資信託の価格(円)
筆者作成

このチャートで、2025年7月1日から2026年6月1日まで、毎月1日に3万円ずつ、12カ月で36万円を積立投資したと仮定します。1年後の2026年6月1日時点であなたは得している(含み益がある)でしょうか? 損している(含み損がある)でしょうか?

おそらく直感では「損している(含み損がある)」と思われるでしょう。投資を始めたときより、価格が半分まで下落しているのですから当然です。

しかし、まさかまさか、このケースでは、あなたはしっかりと得をしている(含み益がある)のです。詳しく解説してみましょう。

世界情勢に関係なく、経済指標など気にせず、投資信託の価格がいくらであれ、あなたは毎月1日に3万円ずつ積立投資をしてきました。毎月同額なので、そのタイミングで、価格が安いときには多く買い付けることになり、価格が高いときには少なく買い付けることになります。具体的には次の表のとおりとなります。

【図表3】積立投資の買い付けの例
※毎月1日としていますが、土日祝等の曜日は考慮していません。(筆者作成)

2025年7月1日は1口あたり100円と価格が高かったので、買い付け口数は300口。逆に、2026年3月1日は同25円と安かったので、1200口買いました。毎月3万円を買い付けるので、価格に応じて購入口数が決まることになります。

こうして12カ月で計36万円使って買い付けたのは、全部で8250口。2026年6月1日の価格は50円です。50円×8250口=41万2500円となりますので、投資額の36万円を5万2500円上回っています。あなたはしっかりと得をしていることが分かりました。