リーディングとライティングの素地は、主にステップ②で作られます。便宜上「ステップ」とは呼んでいますが、リスニング、スピーキング、リーディング、ライティングの4能力をひとつずつ完結させていくのではありません。

ステップ①とステップ②でひととおり素地を作ったら、後は同時進行ですべての力の精度を徐々に高めていくイメージです。

「実用的なフレーズ」をストックする、「正しい発音」を身につける

ステップ①には、主にふたつの目的があります。

ひとつは、そのままネイティブに対して使える「実用的なフレーズのストック」を作ることです。コミュニケーションツールとしての言語を学んでいるときに、最も手応えを感じるのは、覚えたことがネイティブとのコミュニケーションで活きたとき、あるいは「こんなときに使えそうだな」というイメージが湧いたときでしょう。

まだ文法をまったく知らない段階でも、ネイティブが普段使っているフレーズをスラスラと言うことができれば、コミュニケーションは成立してしまいます。

居酒屋で外国人グループからの注文を受けている女性店員
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もちろん、本当に自在な言語能力を身につけるには文法の知識が不可欠です。しかし初期段階では、そのまま使えるフレーズのストックを作ったほうが実践的であり、なおかつ実践的な手応えにより意欲を保ちやすいのです。

もうひとつの目的は、ネイティブの発音をひたすら真似ることで、学び始めの段階からしっかりとした発音を身につけることです。最初に、ある程度、正確な発音を身につけてしまうと、その後の学習をかなりスムーズに進めることができます。

繰り返しになりますが、本書では「コミュニケーションツールとしての言語」を習得することを目指しています。にもかかわらず、文法知識で頭をいっぱいにして、いざネイティブと話してみようと思ったところで発音につまずいてしまったら、もどかしい思いをしてしまうでしょう。

だから、ごく初期の段階で、実用的なフレーズと一緒に発音も身につけておいたほうがいいのです。完璧でなくても、その言語の音の特徴をつかみ、「こんな感じで発音する」という感覚を得るだけでも十分です。

最速で学べる最強コンビは「デジタル学習ツール+録音」

言語を始めたばかりの段階は、まさに赤ちゃんのように繊細な状態といえます。

その言語について何も知らない状態なので、最初は意欲が高くても、頑張って一気に学ぼうとすると途中で息切れしてしまい、意欲が急降下する危険があります。