「研究は最高に楽しい」

SNSも活発な今、ポジティブな情報よりも、ネガティブな情報の方がうんと伝わりやすいです。

だからか、世間で研究者について語られるときは、研究生活の魅力よりも研究者の人生に付きまとう困難の方にしばしば焦点が当てられます。

強調して伝えたいのは、研究は最高に楽しいということです。世界中の研究者との議論を通して、まだ誰も知らない「何か」を発見したときの喜びは、何物にも変え難いものがあります。

ここまでに投資した学費、時間を考えると決して良い待遇とは言えないのにもかかわらず、現在進行形で毎年多くの若者が研究の道に進んでいるという事実がこれを裏付けているでしょう。

同時に、研究を続けたい気持ちがあるのに、恋人や家族のことなど、研究以外の要因を考えたときに、アカデミアへの道を諦めるしかなかった優秀な友人・先輩もこれまでにたくさん見てきました。

研究は国や国民などの支援者によって支えられています。

それに限りがある以上、「研究がしたい」と志願をすれば誰でも好待遇で迎え入れればいいというものではないでしょう。研究の世界に競争が必要であることも事実です。

重要なのは、研究者とそれを支援する側(国や大学、社会)が建設的な対話をすること。そして、利用可能なリソースを最も有効に活用する方法を模索することではないでしょうか。

リソースを増やさずとも、お金の使い方や働き方、雇用方法などのあらゆる面で、「こうしてほしい(研究者やその家族の生活を尊重してほしい)」という研究者側の意見は、私が大学院に進む随分前から言われていますし、メディアでも取り上げ続けられています。それでも変えられない“明確な理由”があるのであれば、それはなぜか? を研究者に提示してほしい――。

そのように私は考えていますが、ここまで読んでいただいたみなさんはどう思われますか? 何が一番の問題で、どうすることが改善、解決に繋がっていくのでしょうか。

研究者が生きるために働きやすい環境を即応的に構築することは、研究者を助けるだけでなく、これから新しい叡智を切り拓く若者や子供たちのために必要なことだと思っています。

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