「脂の少ない部位」をロースとして出す店が多い

これらの部位をさらに細分化すると、ロース芯(リブロース、サーロイン)、巻き、エンピツ、カブリといった呼ばれ方をします。

もちろん、これらの部位をロースとして提供している焼肉店はありますが、カルビと同じように、実はこれらの部位以外をロースとしている焼肉店は非常に多く見られます。

カルビが脂のついた部位として認知されてきた中で、ロースは脂が少ない部位として認知されてきました。

網の上で焼かれる赤身の肉
写真=iStock.com/gyro
脂の少ない部位をロースとしてきた(※写真はイメージです)

背中の肉はご存じの通り、代表的な霜降りの部位です。

日本の焼肉店では、伝統的に脂の少ないカメノコやシンシンといったモモの部位やランプをロースとして扱うお店が多いのです。

食品偽装ではなく、伝統的な名称に過ぎない

ここまでを整理すると、精肉店ではカルビと言えばバラと呼ばれるあばら骨周辺の肉を指し、ロースと言えば背中の肉を指しますが、焼肉店ではカルビは脂のついた部位を指し、ロースは脂のついていない部位を指すケースもあるということです。

これは食品偽装といった物々しいものではなく、古くから焼肉店で行われていた慣習でもあります。

実際にカルビの場合、霜降りであるサーロインやリブロース、ザブトンなどをカルビとして提供している焼肉店を見かけます。

これらの部位はあばら周辺の部位よりも遥かに高級なので、食品偽装が目的であれば辻褄が合いません。