以前の地方都市では大企業の工場などの産業を呼び込み、そこの工場で働く人々を吸い寄せてきたが、最近は産業構造が変わり、サービス業などの3次産業が中心となってきたことから、各地方に住む人たちは若者を中心に東京や大阪に出ずに、地方四市のサービス業に従事するためにこれらの都市に集結する傾向にあるのである。地方四市はこうした働き方を志向する人々にとっては十分な社会インフラが整っており、競争が激しく、生活物価が高い東京や大阪にわざわざ出向かずとも十分に満足できる生活がおくれることも人気の理由なのである。

トップ100の注目は“北海道”と“福岡”

特に北海道や福岡でその傾向が強い。昨年の地価公示で話題となったのが、全国住宅地地価上昇率のトップ100地点を北海道の各地点が独占したことだ。プロ野球日本ハムファイターズの本拠地エスコンフィールドがオープンした北広島市をはじめ、空港のある千歳市、江別市、恵庭市などで地価が対前年比で20%から30%の高い伸びを示し、世間を驚かせた。これらの街は札幌への通勤圏にあり、札幌市内に比べて地価が安いことから人気が急上昇した街である。

今年のトップ100をみると、前年独占した北海道は相変わらず25%から30%の高い伸びを示した地点は多かったものの、ランクインしたのは52地点に留まり、代わって福岡県内で20地点もが増加率で15%から19%の高い伸びを示した。九州新幹線開通以降、福岡は九州じゅうの人々を吸い上げているといえる。