同じような立地でも成長スピードには大きな差が

コロナ禍による働き方の変化や都心新築マンションの高騰などを理由に郊外部の地価が上昇基調にあるとの見方もあるが、実はひとくちに郊外といっても、街によって大きな差が生じ始めているのが現実だ。

千葉県では流山市や市川市、柏市などの地価が10%以上の上昇を示しているのとは対照的に、同じような立地にありながら、これらの街と同様の上昇率を示せていない街もある。増加率の低い値を示しているのは佐倉市1.1%、八千代市1.3%、四街道市1.5%などである。

神奈川県内の郊外都市でも成長スピードに大きな差が生じ始めている。湘南エリアの藤沢市4.2%、茅ケ崎市5.2%、鎌倉市3.8%、逗子市3.9%など軒並み高い上昇を示しているのに対して、小田原市0.5%、三浦市0.4%、横須賀市0.9%などとほとんど地価は上昇していない。

埼玉県内では行田市は0.6%の下落。同様に加須市-0.4%、羽生市-0.4%など昨年に続いて地価が下落した街の名が並ぶ。

人口が減少に向かうことがあたりまえの我が国で、人が集まり地価が上昇していくためには、人を惹きつける魅力をいかに演出するかが問われている。政府が掲げた「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の中で、各自治体に人口増加施策とその実施による人口増加予測を出させたところ、日本の人口が倍増することが判明したなどという冗談のような本当の話があるが、自治体同士の人の奪い合いはこれからがまさに本番となる。

住宅選びにおいても人が集まり成長する街を見極める力が試される時代になっているのである。

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