具だくさんの味噌汁は超健康食

オフィス街のある小料理屋がランチサービスを始めたら、たちまち行列ができる人気店になったそうです。その秘密は具だくさんの味噌汁をお替わり自由でお客さんに提供したからだと耳にしたことがあります。

また、私の知人にひとり暮らしの高齢男性がいますが、彼は「野菜料理といっても面倒だから、じゃがいも、大根、にんじん、玉ねぎ、キャベツなどをドーンと味噌汁の具にして食べています。これが常食です」と話しています。この具だくさんの味噌汁が、彼の健康を支えているのだと思います。

「一人分の味噌汁をつくるのは、けっこう面倒くさい……」

そう思っているひとり暮らしの高齢者もいるかもしれませんね。そんな方には味噌汁の簡単な作り方をお教えしましょう。

小鍋に水を入れ、だしの素をパラリ。ここに冷蔵庫の野菜室に残っていた野菜類をなんでも適当に切って放り込み、柔らかく煮る……。

こうすれば、残り野菜も無駄なく食べられるし、じゃがいもや里いもなどのいも類、にんじん、大根、かぶなどの根菜類が入っていると、それだけでけっこう食べ応えのあるおかずになります。

具に火が通ったら、味噌を溶き入れます。このときも、味噌こしを使ってなどと本格的にする必要はありません。スプーンで適当な量をかき出してドボンと入れ、菜箸の先でかき混ぜればそれでOKです。

さまざまな具の味噌汁
写真=iStock.com/Yuuji
※写真はイメージです

味噌を入れたら絶対に沸き立たせない

その際、注意しなければならないことがひとつだけあります。

味噌を入れたら絶対に沸き立たせない――。沸騰させると、せっかくの味噌の香りが消し飛んでしまいます。

おいしい味噌汁づくりのポイントは、唯一ここだけといってもいいでしょう。

先ほどとは別のひとり暮らしの高齢男性Dさんは、野菜が余るとその場でトントンと刻み、素材ごとにラップに包んでファスナー付きのポリ袋に入れておきます。

大根、にんじん、玉ねぎ、いも類など……。味噌汁をつくるときは、そこから刻み野菜を取り出して適当な組み合わせで入れ、時にはわかめや豆腐、油揚げなどほかの具も加えて、だし汁でひと煮立ち。味噌を入れたら出来上がり……。

Dさんがボケとは無縁でいられるのは、この味噌汁のおかげもあるのではないでしょうか。

なかには「そんな小まめなことはできない」という方もいるかもしれませんね。たしかに一人分の味噌汁はミルクパンに一杯程度の分量です。

そんな少量はつくりにくいというなら、香り立つ味噌の味を楽しむのは最初だけでよしと納得し、一度に3回分くらいつくって、2回目以降は電子レンジにかけられる器に移してチンして楽しむという手もあります。

このとき、菜の花、絹さやなどの青みを加えたり、みょうがなど季節感のあるものや、香りのある一品を加えると、出来たての味噌汁にひけをとらない味わいになるでしょう。