「NHK NEWS WEB」は廃止されるのか

また、政治ニュースでは、「政治マガジン」がある。「政治記事も面白いんです!みんなで“使える”WEBマガジン」をキャッチコピーにしており、本稿執筆時点で確認できる最も古い記事は2016年11月1日に配信された「『総理番』って知ってますか」なので、少なくとも7年以上は続いている。

ほかにも総理大臣の動きを伝える「総理、きのう何してた?」や、Eテレの人気番組「ねほりんぱほりん」とコラボした「ねほりはほり聞いて! 政治のことば」などが並ぶ。

3月5日に配信された「SlowNews」の報道によると、「NHK NEWS WEB」や「政治マガジン」などが、インターネット業務の義務化に伴って、廃止されるという。

ネット業務をしなければならないのに、その中身であるコンテンツがなくなるとは、どういう理屈なのだろうか。

背景にはNHKの仕組みがある。

NHKの業務には、放送などの「必須業務」と、それを補う「任意業務」が放送法で定められている。「NHK NEWS WEB」や「政治マガジン」は後者のなかの「理解増進情報」にあたり、誰でも無料で読める。前者の放送を見たり聞いたりするには受信料を支払わなければならないのに対して、後者は、あくまで「補助的な情報」だから、という立て付けである。

これまでは放送は義務であるものの、ネットは追加のサービスだったのである。

「放送とインターネットの受信契約は公平」

そこに出されたのが、3月1日に閣議決定された放送法改正案である。「放送とインターネットの受信契約は公平」と定め、受信料を支払わずにネットで視聴する人も契約しなければならない、とした。ネット業務を「必須業務」に変更するのである。

受信料をもとにした取材活動や制作費によって作られたネットのコンテンツを、NHKと契約していない人がタダで見られるのは、フリーライド(タダ乗り)であり不公平との考えに基づいている。ネットでの提供を義務にする代わりに、そのコンテンツからも平等にお金をとりなさい、というわけである。

それでは、なぜネットの独自コンテンツが廃止されるのか。放送法改正案では、放送とネットの受信料負担を同じにするだけでなく、提供されるコンテンツも「公平」にすることが求められているからだ。

そのため、「必須業務」に含まれるのは、現在でも提供されている「NHK+」という、放送との同時配信や見逃し配信を中心としたものであり、テキストニュースも放送内容の文字起こしが主体になるのではないか。

理屈としては苦しいものの、何とか納得しそうになるのだが、話は単純ではない。新聞社や民放テレビ局からの反発もまた、この流れを後押ししたからである。何としてもネット業務を「必須業務化」したいNHKが、そうした反発をやわらげるために、独自コンテンツの廃止をのんだのではないか。