英国のチャールズ国王と、父親の故フィリップ王配との間には確執があったと言われる。また、国王が皇太子時代に結婚した故ダイアナ元妃の両親は不仲で、元妃は愛情に飢えていたと言われる。英国王室ウオッチャーの東野りかさんは「英国王室の世代間に連鎖する悲劇の元凶は、親の愛情不足や親子関係の破綻かもしれない」という――。

(※初出の敬称は当時のもの。1回目以降敬称略)

紙幣に印刷されたエリザベス女王2世の肖像画
写真=iStock.com/ilbusca
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英国王室の悲劇の原因は「愛情不足」だった

「エディンバラ公は愛情ある父親とは言いがたい。彼もまた父親に愛されなかった人だ」――。

現在Netflixで公開されている『ザ・クラウン』は、英国女王の故エリザベス2世(1926~2022年)を中心とした激動の英国王室の物語。シリーズラストのシーズン6を迎え、長きにわたるロイヤルストーリーはエンディングを迎えた。

同ドラマはフィクションだが、事実をもとに脚色されている。存命の王室メンバーのスキャンダルを克明に再現されており、日本の皇室ではまず考えられないことだ。

女王は在位中絶え間なく、家族間の断絶や反目、裏切りに悩まされていた。特に後継者チャールズ皇太子(現国王、75)とは、女王も夫のエディンバラ公フィリップ王配(1921~2021年)も長年確執が続く。

冒頭のセリフは、母の故ダイアナ妃(1961~1997年)を亡くして悲しみのあまりヤケになったウィリアム王子(41)と対立するシーンで、チャールズが苦悩に満ちた表情でつぶやいたもの。あろうことか『ママに似ている僕がきらいだろ?』とウィリアムが刃向かってきたのだから。

世界で最も有名な王室である英国王室だが、光り輝く側面とは裏腹に、王室メンバーの多くは“親の愛情不足”という、人間の根源的な“飢え”に苦しんでていたことはこれまですでに報じられており、このドラマでもそれが主題のひとつとなっている。

“デカ耳”…いじめの標的にされたチャールズ皇太子

シャイで内気なチャールズ皇太子は父のフィリップからしばしば冷たい態度をとられていた。

例えば学業面。本人は上流階級の子弟が多く通う上品なイートン校に入学したかったが、フィリップは、自分の出身校であるスコットランドの新興校・ゴードンストウンに息子を強制的に入れる。

同校はイートンとは違って粗暴な学生も多かった。学校を設立したユダヤ人教育者の意向で、強権な人格形成を旨としていたと言われ、フィジカル面でも非常に厳しいトレーニングを学生に課した。それはひ弱なチャールズに相当ハードだったし、そんな“皇太子”という異分子を、周囲の学生は冷ややかに見ていたようだ。

『ザ・クラウン』では、ラグビーのスクラムの中でチャールズが誰かにわざと殴られたり、特徴的な大きな耳を引っ張られたりするシーンが登場する。彼のあだ名は“デカ耳”。子供というものはいつの時代も正直で残酷だ。

出典:「いじめを乗り越えた優しい王」 寄宿学校の同級生が語る英国王の過酷な少年時代(産経新聞)

チャールズは実際にゴードンストウン校の生活を、「監獄のようだった」と述懐している。