仕事のデキる人はどんな思考パターンをしているか。元ドリームインキュベータ代表で経営コンサルタントの古谷昇さんは「経営者は腹をくくるのと同時並行して、常に抜け道を探しているようなところがある。あらゆる会社が例外なく山のように問題を抱えているから、経営者のズルさなしでは成り立たない。下で真面目に仕えていくタイプはこれができなくて、なかなか経営者になれない理由となっていることが多い」という――。

※本稿は、古谷昇『コンサル0年目の教科書 誰も教えてくれない最速で一流になる方法』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

光に向かって階段を登る実業家
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経営サイドと経営者の明らかに異なる視点の正体

私たち経営コンサルタントには、経営サイドと現場サイドの両方の視点から企業を見ることができる強みがあって、そこからいろんな課題や仮説や戦略づくりのヒントを得ていることが多い。

実際、これまで、ほんとうにたくさんの企業を観察してきた。

それが仕事だからだが、ただ観察してきただけではない。いつも真剣に、しかもあらゆる角度から幅広く眺めてきている。そして痛感したことの1つが、同じ経営サイドといっても経営者は特別な存在である、ということだった。

経営者は、目のつけどころ、ものの見方が、他の経営陣とは明らかに違っている。

よくいわれるような、社長は全社的にものを見るというのともまた別で、経営者独特の視点があるのだ。読者のみなさんも、この視点を身につけることによって、人より早く経営者になれるかもしれないし、難しい課題設定もうまくできるようになるかもしれない。

経営者の役割は何かというと、一般には「決断」であるとされている。

これは最終的には正しい。しかし、経営者の役割は他にもいろいろある。たとえば、起きてしまった矛盾を解決するというのも、決断に負けないくらい重要な役割だ。