子育てによる夫婦関係の悪化を防ぐことはできるのか。夫婦問題研究家の岡野あつこさんは「自分は“イクメン”のつもりでも、妻をイラつかせている夫たちがいる。子育て中に妻が抱いた不満は、子育てが終わってからも残り続けるものだ」という――。
ベビーカーを押しながら散歩をする夫婦
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妻をイラつかせる“イクメン気取りの夫”

イクメンというワードが普及して久しい。厚生労働省が推進している「イクメンプロジェクト」ではイクメンについて、こう定義している。「イクメンとは、子育てを楽しみ、自分自身も成長する男性のこと。または、将来そんな人生を送ろうと考えている男性のこと」。たしかに、そんなイクメンが増えれば夫婦や家族のあり方は変わるはず。

ところが、現実はそんなに甘くないのも事実。子育てを楽しむ余裕などはなく、自分のことで手一杯な夫は少なくない。イクメンとは似て非なる「“イクメン気取り”で、実は妻をイラつかせている夫」であるがゆえに、夫婦の危機を招くこともある。

実際に、子育てをめぐって夫婦間に亀裂が生じ、危機を迎えた夫婦にはこんなケースがある。

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「夫はもともと外ヅラがいいタイプ」

【CASE1】「イクメンのオレ」に酔いしれる夫

Y美さん(33歳)は半年前に第一子を出産、現在は育休中で、夫は2歳年上の会社員だ。Y美さんは、はじめての育児に毎日奮闘していて日々お疲れ気味。「正直な話、育児がこんなに大変だとは思わなかった。こんなことなら、家で育児に明け暮れるより外で働いているほうが、自分のことだけ考えればいい分、よほど楽だと思います」と本音をもらす。

子どもに振り回される日々とはいえ、「もちろん、子どもはかわいい。どんなに疲れていても、子どもの寝顔を見ると『生んでよかったな』と心から思う」と子育てに関する苦労については納得している様子のY美さん。では何が彼女のストレスの元凶かというと、「100%、夫です。家にいるときはほとんど何もしないくせに、外ではイクメンを演じている夫にイラだちがとまりません」。

憤慨するY美さんいわく、「夫はもともと外ヅラだけは異常にいいタイプというか、『自分がどう見られているか』を気にしすぎる傾向があるんです。今は、私のママ友や学生時代の友だちから『イクメンの旦那さんでうらやましい』と褒められることがうれしいらしく、『イクメンのオレ』に酔いしれていてムカつきます」。