ガソリン車と電気自動車のどちらを買うのがお得なのか。経済ジャーナリストの頼藤太希さんは「長い目で見れば電気自動車の方がお得だが、ガソリン車が有利な部分もある。住んでいる地域の特性など、お金以外のことにも注目したほうがいい」という――。
スケールの前に2つの赤と緑の車
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「今買うなら」どちらがお得なのか

自動車を買うときには、値段、見た目、安全性、装備、燃費など、いろいろなことが気になるものです。また、税金面も気になります。一定の基準を満たした自動車に適用されるエコカー減税は2026年4月まで延長されたとはいえ、今後基準が厳しくなり、増税になるといわれています。

そこで今回は「今買うならガソリン車と電気自動車のどちらがお得か」をテーマに、ガソリン車と電気自動車を比較しながら一緒に考えてみたいと思います。

新車の本体価格はガソリン車の方が安め

ガソリン車と電気自動車、どちらも自動車ではありますが、動力源はまったく異なります。ガソリン車はガソリンを燃焼させてエンジンを動かして走る車、電気自動車はバッテリーに蓄えた電気でモーターを動かして走る車です。

自動車の本体価格は、新車か中古か、車種が何かで違いますし、ひとくちに中古といってもその状態などによってそれぞれ違います。したがってあくまで目安ですが、新車のガソリン車であれば100万〜300万円程度です。ガソリン車よりもHV(ハイブリッド自動車)のほうが高くなります。

新車の電気自動車になると少なくとも300万〜500万円程度はかかります。EV(電気自動車)よりもPHV(プラグインハイブリッド車)、FCV(燃料電池自動車)のほうが高くなります。FCVにいたってはトヨタ「MIRAI」の最安グレードで710万円(2020年発売当時)でした。いくら最新鋭の自動車でその価値があったとしても、高いと思われる方が多いのではないでしょうか。

もっとも、今後はガソリン車から電気自動車にシフトしていくとみられます。2021年、菅総理(当時)は施政方針演説において「2035年までに新車販売をすべて電気自動車にする」と発表し、話題になりました。欧米各国でも2030年・2035年までにガソリン車の新車販売を禁止する方針を打ち出しています。現実的に、2030年・2035年といった時期にガソリン車が売られなくなるのか、法律の面がどうなるのかは未知数です。

しかし、環境面を考えると、地球に優しいのは「排気ガスを出さない」電気自動車です。長期的に見れば、脱ガソリン車の流れが加速していくことは間違いないでしょう。