千葉県の郊外には宅地造成されたまま放置されている「限界分譲地」が多く存在している。ブロガーの吉川祐介さんは「筆者が暮らす千葉県横芝光町には、田んぼの真ん中に放置された分譲地がある。上水道はあっても下水、電気はなく、道路は未舗装だ。バブル期に投機目的で買われ、手つかずのままになっている」という――。
なぜ田んぼの真ん中に「無人の分譲地」があるのか
1970年代から80年代末にかけ、千葉県北東部の農村地帯において開発・造成された分譲地の多くは、名目上は住宅地や別荘用地として販売されたものである。
なかには実際に家屋を建てて暮らし始めた住民ももちろん存在したものの、その大半が居住用ではなく投機目的で購入された。自分が購入した土地の周辺で都市化が進んだり、あるいは何らかの公共用地や事業用地として白羽の矢が当たった際に、高値で売却できる「資産」の形成を想定していたのだ。
しかし、購入者はその土地を実際に利用するビジョンを持っていたわけではない。投機目的で購入する以外に使い道のない、まともな住宅用地としての造成工事もろくに行われないまま販売された「分譲地」も数多く存在する。
筆者が暮らす千葉県横芝光町、現在の銚子連絡道路横芝光インターチェンジ周辺に広がる広大な水田地帯に、バブル時代の乱暴な土地分譲を今に伝える放棄分譲地が残されている。
国道からアクセスできない
「画像1」の航空写真をご覧いただければお分かりのように、この分譲地は、四方を水田に囲まれた、文字通り田んぼの真ん中に位置している。決して水田地帯の一角に作られた、というようなものではない。
南側に国道126号線が通るが、国道側からまともにアクセスできる道路はない。分譲地にたどり着くためには、北川の町道から田んぼの中の未舗装路を通る必要がある。この道は軽トラックがかろうじて通れる程度のもので、乗用車や、工事用の大型車がむやみに入り込める道路ではない。