半年で5兆円超の資産価値を失った日銀
日銀が11月28日に発表した4~9月期決算によると、保有国債を時価評価すると8749億円もの含み損が発生した。
日銀は必死の「指値オペ」(定めた値段で売ってくる国債を無制限に買い取るオペ)で長期金利上昇を防いでいた。9月末は、なんとか評価損の発生を回避できたかと思っていたが、無理だったようだ。
この報道を聞いて、私なぞ、「ついに日銀の取り潰し、円の紙くず化の最終ステージに突入したのか」と思ってしまった。
半年前の3月末は4兆3734兆円もの評価益があったのだから日銀は、この6カ月で5兆2483億円も資産価値を失ったことになる。
2022年3月末時点で10年債金利は0.218%、9月末は0.277%だった。米国では一晩で起こるようなたった0.058%の金利上昇で、これほど巨額の資産価値を失ったのだ。
日本同様、昨年はマイナス圏にあったドイツの10年国債金利は今や1.93%(2022年12月12日現在)。昨年12月の△0.38%から2.31%も上昇している。日本で同程度の金利上昇が起これば日銀は、とんでもない評価損を抱え込むことになる。
1%の金利上昇で28.6兆円、2%で52.7兆円…
実際に12月2日の参議院予算委員会で浅田均参議院議員が、「全期間で同じレートだけ金利が上昇したら(すなわち金利のパラレルシフト)日銀保有国債にいくらの評価損が発生するか?」と聞いたところ、雨宮正佳日銀副総裁は以下の通り回答した。要点はこうだ。
1%の金利の上昇で28.6兆円、2%で52.7兆円、5%の上昇で108.1兆円、11%上昇で178.8兆円の評価損を食らう。
気が遠くなる、とんでもない数字だ。なにせ1年間の国の税収が70兆円に届かないのだから。日銀の引当金+準備金は9月末で11.1兆円しかないのだから、1%のパラレルシフトの金利上昇で、完璧な債務超過である。