どうすれば幸福に生きられるのか。心理カウンセラーの中島輝さんは「自分のことを自分で決めるという『自己決定感』をもつことが重要だ。自分の判断を自分以外の何かにゆだねてしまうと、幸福感はどんどん減ってしまう」という――。

※本稿は、中島輝『「知らんがな」の心のつくり方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

街の背景に雨が降るガラス窓を見て悲しい女性
写真=iStock.com/ipopba
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周囲に「振りまわされる」人の3つのパターン

誰かに道を決めてもらっていると、自分で自分の幸福感を知らないうちに減らしてしまいます。それはあまりにもったいないこと。

他人や世の中が決めた“正解”に振りまわされてしまうのは、主に次のようなパターンがあります。

1 自分が経験して学んだ知恵ではなく、他人から与えられた知識を優先してしまう
2 自分が決めた規律ではなく、社会的な同調を優先してしまう
3 自分の個性や特質、強みではなく、社会的な成功を優先してしまう

この3つのパターンに見られるのは、すべてのものごとを固定観念や既成概念で決めているということです。

1のパターンは、自分に自信を持てていません。自分が経験して学んできた知恵はこの世で唯一無二の貴重なものにもかかわらず、それを大切なものとして扱うことができなくなってしまうのです。そんなときほど、他人の発言や他人から与えられた知識に頼りがちになります。

成功そのものを追い求めていては幸せになれない

2のパターンは、自己肯定感のひとつ「自己決定感(自分で決定できる感覚)」が不足しています。1のように他人から与えられた知識を優先していると、自分のことを自分で決められなくなり、自己規律が持てなくなってしまいます。

すると、とにかく失敗したくないために、周囲に合わせようとしてしまいます。そのほうが楽だし、ときに得をすることもあるからです。それによって、ますます自分でものごとを決められなくなる悪循環に陥ります。

ただ、心の奥底には、本当に自分がしたいことやありたい姿があるものなので、そのイメージ像と実際の言動にギャップが生じてつらくなってしまう。投げやりになったり、生きる力も湧かなくなったりします。

3のパターンもよく見られ、「承認欲求」が強くなり過ぎている状態です。2のように社会的な同調を優先していると、程度の差こそあれ、一般社会的な成功を目指すようになります。自分のオリジナリティや卓越性ではなく成功そのものを求めるようになり、世の中の人が「すごい」「うらやましい」「あの人のようになりたい」と思うような姿にとらわれて、自分の個性、特質、強みといった大切なものに目が向かなくなるのです。