夫と浮気相手は連帯債務

離婚をせず、婚姻関係を継続するという決断を取る場合、夫と不貞相手双方に50~200万円ほど請求できます。夫と浮気相手は、連帯して債務を負っている関係になり、どちらかが支払えば、どちらかがその支払い額分だけは債務を免れます。

ひどい夫から身を守るための法律
民法 第709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民法 第710条(財産以外の損害の賠償)
他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

念書の約束が認められないケース

Q.一度不倫した夫に、次も同じことをさせないように、「次に不倫したら、慰謝料として1億円払います」という念書を書かせました。法的な効力はあるのでしょうか?

A.法律的には、1億円は難しいでしょう。

公正役場で公的な文書として作成した契約書である公正証書であっても、あまりにも無謀な内容は認めてもらえません。夫が念書にある約束を破った場合、不倫の慰謝料相場である数百万円ほどであれば認められます。

夫にサインをさせた念書でも、必ずしもあなたを守ってくれる存在ではないということをぜひ覚えておいてください。

不貞行為に対する慰謝料は、請求できる期限に注意

・慰謝料は不貞行為を知った3年以内に請求を

慰謝料を請求する上で、注意しておきたいのが「時効」です。不倫相手に慰謝料を請求する権利期間は、不貞行為の事実と不倫相手を知った日から、3年間です。

配偶者の不貞行為と不倫相手が判明した日から3年以内に慰謝料を請求する必要があります。

・3年以上前の不貞行為についても、20年以内なら請求できる

不倫相手がわからなかった場合や、不倫に気が付かなかった場合は、どうなるのでしょうか? 「5年前に夫が不倫していたことを知った。このまま、泣き寝入りするしかないのか……」と思ってしまいますが、こうした事態に備えて設定されているのが、20年間の「除斥期間」と呼ばれる期間です。

不法行為から3年以上が経過していたとしても、その行為から除斥期間の20年間以内であれば、慰謝料を請求する権利があるのです。

夫の不倫の事実を5年後に知ったとしても、その不貞行為が20年以上前でなければ、慰謝料を請求することは可能です。

関連法律
民法 第724条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
1.被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき。
2.不法行為の時から20年行使しないとき。