ワクチン接種率の高い国は人や街の規制が徐々に解除されることで人々の買い物や飲食の機会も増え、景気が急回復している。国際エコノミストの今井澂さんは「接種率50%を超えると感染率がダウンすることがわかっています。日本がその状況になるのは9月頃。そうなれば、消費者の需要が一気に回復し、企業業績も上向き、株価も上がるはず」という――。

※本稿は、今井澂『日経平均4 万円時代 最強株に投資せよ!』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

10万円を手に持つ男児
写真=iStock.com/kazuma seki
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9月の「ワクチン接種率50%」で起こる“ペントアップ・デマンド”

新型コロナワクチンの接種は2020年12月上旬のイギリスを皮切りに2021年3月時点で海外領土などを含めると149カ国・地域にまで広がっています。日本でのワクチン接種も医療従事者を対象に2021年2月17日から始まりました。

世界各国で進むワクチン接種は「いつまでも新型コロナ大不況は続かない」という前途への明るい見通しにつながっています。

もちろん、その見通しは株価にプラスになっているのですが、さらに株価に好影響を与えるのはワクチン接種率が50%になることです。なぜ50%なのか。それはイスラエルでの経験で50%になると途端に新型コロナウイルスの感染率がダウンするということがわかったからです。

ワクチン接種率が50%になるのは、イギリスが4月、アメリカが6月になると予想されています。つまり、新型コロナ騒ぎはイギリスでは4月、アメリカでは6月に終わりになると考えて良いでしょう。

ほかの国々は50%になるのは両国よりも遅れるし、日本も早くて8月ぐらいになります。それでも9月くらいには大丈夫になるという見通しは出せるので、そのときにコロナ不況脱出の確信もできるはずです。

我慢していた消費欲が一気にどーんと噴出する

これによって企業が強気の1株利益の予想を出したり前向きな経営計画を発表したりして、投資家も好感を持つに違いありません。その先には減配や減益がほとんどないということを株価も織り込んでいきます。9月決算のころには、みんなが安心して株を買うようになると思っていいでしょう。

付言すると、同じくワクチン接種が50%になることで世界中でのペントアップ・デマンドも大いに期待できます。これは、景気後退期に購買行動を一時的に控えていた消費者の需要が景気回復期になって一気に回復することです。

つまり、消費者の需要は景気後退期のために消滅するのではなく、むしろ積み上げられ繰り越されて潜在化するので、それが景気回復とともに表面化すれば需要が一気に拡大することになります。

コロナ禍のために多くの人たちがパブで飲みたいとか、レジャーに行きたいといった欲望を我慢しているわけですが、それは我慢している潜在的な需要なので、ワクチン接種が50%以上になると我慢していた需要がどーんと噴出してくるのです。

ペントアップ・デマンドでパブやレストランがごった返し、高速道路が渋滞になり、ホテルも満室になります。このペントアップ・デマンドが株価を押し上げないはずがありません。

パルナッソス・インベストメントの宮島秀直氏の資料によると、アメリカの個人消費は10.9%、GDPは7.5%押し上げられます。また、日本も21兆円がペントアップ・デマンドになり、GDPを2.7%押し上げるなか、4~5兆円は株式中心に回ると見ています。