「女性5人」を多いと感じてしまう心理

実際には、20人を超える理事メンバーのうち女性は5人だけで、数としてはむしろ少なすぎるほどです。この客観的事実から見るに、森氏の世界では、自分と同じ場にいて対等に発言する女性はノイズとして認識されているのかもしれません。

こうした発言が出るのは、女性は男性を立てるものであり、何か物申すことなどありえないと思っているからこそでしょう。「思っている」レベルをはるかに超えて、「全身に染み込んでいる」と言ってもいいかもしれません。

中年ビジネスマンが説明する
写真=iStock.com/metamorworks
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だからこそ、女性が発言することにも、同じ場にいることにも、過剰に注意が向いてしまうのだと思います。だから現実としては、数は少なくても、森氏の中では“多く”感じてしまうのです。

同じような本音を隠し持つ男性は少なくない

冒頭の発言がナチュラルに口から出たということは、おそらく本音のはず。そして残念ながら、同じような本音を隠し持っている男性はいまだに少なくありません。

特に年配の男性に多い傾向があるのですが、彼らは無意識のうちに女性をひとくくりにして下に見ており、口には出さなくてもつい態度に出てしまったり、部下のうちなぜか女性の意見だけ耳に入ってこなかったりします。

こうした男性がたくさんいる世界が、いわゆる「男社会」です。これは企業でも大学でもよく見られ、女性活躍を推進する際の壁にもなっていますが、本人たちのジェンダー観を変えるのはかなり難しいのが現実です。男女が不平等な社会で生活する中で、無意識のうちに培われたもので、本人には悪意もないため、最近では大人の男性を変えるのはあきらめて「男の子の育て方を変えよう」という議論も起こっているほどです。

彼らに「そのジェンダー観は間違っている」とわかってもらうためには、どうすればいいのでしょうか。