まさに私にうってつけのテーマである
担当編集者からこんな依頼が届いた。
まさにこのテーマ、私にうってつけではないか! 「今さらブームに乗りにくい」「後から乗っかるのが恥ずかしい」という人はなーんにも気にしないでいい。散々その経験をした結果、開き直ってしまった1973年生まれの私がこれまでいかに、ブームから遅れる人生を送り続けてきたか!
もちろん『鬼滅の刃』の存在は知っているし、各種コラボ商品をコンビニや自販機で見たし、主人公がチェック柄の服を着ているのは分かるし、主人公の名前が巨人の捕手・炭谷銀仁朗に似た名前だったと記憶しているし、映画『千と千尋の神隠し』を超えるかもしれない興収を挙げていることや単行本が1億冊を超えていることも知っている。
コロナ禍での大ヒットとして明るい話題になったことや、配給会社の株価が上がったこと、元々アニメを放送したフジテレビはオンエアに躊躇していたことや、観ていない人に「知らないの?」と批判的文脈で語る「キメハラ(『鬼滅の刃』ハラスメント)」という言葉まで存在すると報じられたことも知っている。
あらゆるブームに「乗り遅れる」人生だった
さらに、コロナの第3波の原因はGO TOキャンペーンと『鬼滅』の劇場版大ヒットにある、とまで言われた(各所から「映画館満席!」「間隔空いてなかった!」の声が出た)。何しろ「人が動く」「人が集まる」の二大巨頭とされたのだ。そりゃあここまでメディアが『鬼滅』を大量に取り上げているから、この程度は関連情報を知ることとなる。作品の設定もいつの間にか知ってしまった。
さて、毎度ブームに乗り遅れる人生を送ってきたし、今回もまったくブームに乗らなかったが、結局それでいいんじゃないか、とも思っている。その原点となるのが、わが家の教育方針だった。なんと、私の母は「目が悪くなるからテレビは禁止!」という教育方針を私に4歳から課したのである!
というわけで、私は『Dr.スランプアラレちゃん』『オレたちひょうきん族』『川口浩探検隊』『夕やけニャンニャン』『スクール・ウォーズ』『スチュワーデス物語』など、小中学校で話題となっているものについていけない人生を長きにわたって送り続けた。