盧武鉉元大統領ができなかった「検察改革」の無念
いま韓国では、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に任命された曺国(チョ・グク)法相と検察当局とが、激しく対立している。
曺氏は9月9日に法相に就任すると、就任式で検察改革への意欲を明言し、当日に法務省内に「検察改革推進チーム」を設置した。さらに2日後の11日には、検察を監査する組織の強化や、空席の監察本部長の任命手続きを急ぐ方針を示した。
検察改革は検察の権限を限定するもので、大統領の文氏が重要課題に掲げている。これはかつての盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の政権(2003~2008年)が、実現できなかった政策だ。文氏はその盧氏を政権幹部として支えてきた。文氏は盧氏を慕う。盧氏が果たせなかった検察改革を引き継ぎ、側近の曺氏を法相にあて、検察改革の陣頭指揮を任せた。
「タマネギ男」と揶揄される曺国氏の法相就任を強行
しかし曺氏を巡っては、娘の不正な大学院進学や家族ぐるみの不透明な投資などの疑惑がいくつも浮上し、検察の捜査が続いている。このため曺氏は皮が何枚もむけるように疑惑が次々と出てくることから「タマネギ男」と揶揄されている。
娘の大学院進学疑惑では、曺氏の妻が名門釜山大学医学部の大学院進学に有利となるように書類を偽造し、証拠隠しを図ったとされる。検察は6日、この妻を私文書偽造の罪で在宅起訴した。11日には妻が教授を務める大学の研究室からパソコンの運び出しなどを手伝ったとされる人物も検察に聴取された。
家族が不透明な投資をしたという疑惑では、検察が投資会社代表の逮捕令状を請求したが、11日にソウル中央地裁によって棄却されている。
曺氏の法相任命で世論は二分されており、反発する保守派と支持する革新派との対立も激化している。