「50歳を超えているのに30代に見える」と、テレビをはじめとしたメディアで話題になった南雲氏。あれからさらに月日は流れ、2019年で64歳になる。いま辿りついた、壮健な生活の境地とは──。

菜食主義も健康食品も効かなかった

30代の頃は、体重が80キロ近くありました。世はちょうどバブルに浮かれ騒いでいた時代。毎晩、夜更かししては暴飲暴食し、タバコが切れると人にもらって吸っていましたよ。もちろん、運動もしないし、移動もタクシー。肥満のため不整脈がひどく、腰と膝に負担がかかって腰痛ベルトが手放せないありさまでしたね。

現在の私は体重61キロ、身長173センチ。BMIは20.3です。体脂肪率は19%。自分でいうのは気恥ずかしいですが、ウエストはくびれ、子どものようにすべすべした肌が自慢です。髪もふさふさで、64歳という年齢を明かすと、いつも周りに驚かれます。

簡単に若返ったわけではありません。38歳のときにメタボ体形の自分に嫌気がさし、あらゆる健康本に書かれた若返り法を実践するようになりました。完全なベジタリアンだった時代もありますし、話題の健康食品もあれこれ試しました。日傘を持ち歩き、徹底的に紫外線を避けていたこともあります。結局、効果があるものはさほどなかったというのが私の出した結論でした。

新しいものを見極める術も身に付けました。どんなものも、まず3日間試してみて体の不調を感じたら、使用を中止するようにしています。とくに体調不良などはないけれど、3週間続けて効果を体感できないものもダメ。また、3カ月間続けられないようなものは、見切りをつけることにしています。名付けて、「3・3・3の法則」。世間の口コミに惑わされず、自分に合ったものを探すことが肝心です。

試行錯誤の末、いま実践しているライフスタイルはきわめてシンプルなものです。

仕事の間のおやつはナッツや小魚が最適

食事は、10年以上前から「一日一食」のルールを決め、実践しています。朝は消化しきれていない前の晩の食べ物が胃に残っていることもあるので、ほとんど何も口にしません。昼も基本的に食べない。当然、空腹でお腹が鳴りますが、あわててカップ麺をかきこむなどということは決してしません。人類は地球上に誕生してから、長い間、飢餓状態を耐え、生き延びてきました。空腹こそ、延命遺伝子とも呼ばれる「サーチュイン遺伝子」を活性化させるカギである、とする研究結果もあります。

▼「一日一食」の健康食をお店で表現
(写真左から)●鎌倉市にある「日本料理 吟」では南雲医師が提唱する健康食が提供されている。●果物は皮ごと食べる。●雑穀玄米、渡り蟹の栄養が凝縮した土鍋ご飯。一日一食のメーンだ。●塩分カットのため、醤油の代替としてパンプキンシードオイルを使う。刺身にもオススメ。