※本稿は、庵野拓将『科学的に正しい筋トレ 最強の教科書』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
「ゴールデンタイム」のプロテイン摂取はもう古い
一般的に筋トレ後の1~2時間は、筋肉のもとである筋タンパク質の合成作用が最も高まる「ゴールデンタイム」といわれています。そのため、筋トレ直後にタンパク質を摂取することが筋トレの“常識”と考える人も多いようです。
しかし、現代のスポーツ科学やスポーツ栄養学では、タンパク質摂取は「筋トレ後の『24時間』を意識しろ」といいます。そのエビデンスとなったのが、マクマスター大学のバードらによる研究報告です。
トレーニング経験のある20代男性を被験者として集め、レッグエクステンションを行わせた後、24時間後にホエイプロテインを摂取させ、筋肉のもととなる筋タンパク質の合成率を計測しています。その際、バードらはトレーニング強度と疲労度を基準に、被験者を3つのグループに分けて検証しています。
①高強度で疲労を感じるまで行うグループ(高強度+疲労あり)
②低強度で疲労を感じるまで行わないグループ(低強度+疲労なし)
③低強度で疲労を感じるまで行うグループ(低強度+疲労あり)
その結果、高強度、低強度ともにトレーニングを疲労が感じるまで行った①と③のグループは、24時間後の筋タンパク質の合成率が増加していました。一方、疲労を感じるまで行わなかった②のグループは、筋タンパク質の合成率がそれほど増加していませんでした。
筋肉が成長するチャンスは24時間続く
この結果から、トレーニング強度に関係なく、疲労を感じるまでトレーニングを行えば、合成感度の上昇は24時間後まで継続することがわかります。その後、マクマスター大学は同様の検証を複数回行っていますが、いずれも「トレーニング後、1~3時間ほどで筋タンパク質の合成感度は最も高まり、以後は増大率が減退するものの、少なくとも24時間後まで継続する」ことを確認しています。
つまり、筋肥大の効果を最大にするためには、筋トレ直後だけでなく、筋タンパク質の合成感度が高まっている24時間で最適なタンパク質の摂取量を摂取することが重要になるのです。