両者からの回答は、いずれも実質無回答

この話題を記事にしようと考えた私は、道警とNHKの双方に取材を申し込んだ。報じられた不祥事は事実か、出入り禁止は事実か、「話し合い」は事実か――。両者から届いた回答は、いずれも実質無回答といえるものだった。

本件は、報道発表を行なっていない事案であり、取材への対応もしておりませんので、お答えは差し控えさせていただきます。
NHKと道警察との関係について、第三者に申し上げることは控えさせていただきます。
(北海道警)
ご指摘の記事については、9月8日朝のニュースなどで放送しましたが、個別の取材先とのやりとりについてはお答えしておりません。
(NHK札幌)

出禁や「話し合い」が事実としてあったという前提で書いた記事は、『北方ジャーナル』2016年11月号に掲載された。私は道警とNHKの両者に掲載誌を寄贈したが、記事の内容に対する抗議や反論などはどちらからも届いていない。

本書がまとまる2017年8月現在、北海道では引き続き警察職員のみが不祥事の全件公表を免れている。同年1月から6月までの「上半期」6カ月間では、懲戒処分が4件、監督上の措置が37件と、計41件の不祥事が記録されたが、道警は「警察庁の『指針』を参考に」全体の9割を超える38件を公表していなかった――。

小笠原 淳(おがさわら・じゅん)
ライター。1968年生まれ、札幌市在住。旧『北海タイムス』の復刊運動で1999年に創刊され2009年に休刊した日刊『札幌タイムス』記者を経て、現在、月刊『北方ジャーナル』を中心に執筆。同誌連載の「記者クラブ問題検証」記事で2013年、自由報道協会ローカルメディア賞受賞。ツイッターアカウントは @ogasawarajun
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