「研修事業」で約7割が日本国内に就職

現時点で判明している主な情報は、依然として林官房長官の発言部分である「JICAの研修事業などを通じたインターン生の受け入れ」のみ。

JICAは、これまで研修事業を通じて多くの外国人材の国内受け入れを支援してきた。例えば、JICAバングラデシュ事務所のHPでは「日本市場向けバングラデシュITエンジニア育成プログラム」(2017~2020年)が紹介されている。この事業では280人の研修生(インターン生)のうち186人が日本国内に就職したという。

地図にピン留めされたバングラデシュの旗
写真=iStock.com/MarkRubens
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インターン生から在留資格を就業系に切り替えて、住民登録をして居住していることになる。基本的には離職しない限り、在留資格は更新が可能で、住民として定住する。申請条件を満たせば、永住権や帰化の申請も可能になる。この事業も、JICAからは「移民受け入れに繋がる事業」という説明は当然ない。就業系のビザを含め、ほとんどのビザで在留期間があり、「帰国前提」という説明には嘘がない。

BBC報道「日本人同様の医療サービスを受けられる」

今回のホームタウン事業は、前述のように詳細がほぼ明らかになっていないため、「移民の受け入れ」に繋がる側面を持つ事業と断定することはできない。しかし「アフリカ移民」が注目されるのには理由がある。それが前述の「育成就労」の新制度だ。

実はこの制度がアフリカ側の誤情報とされる「新しく創設された特別ビザ」の誤解ではないかとの見方があるのだ。BBCで報じられた「日本人同様の医療サービスを受けられる」という部分は、そもそも3カ月以上の滞在であれば誰しも最大3割負担の健康保険の加入を義務付けられる。

つまり何もないところから、アフリカ側が勝手に創作したのではなく、27年から始まる「育成就労」の在留資格の活用を説明され、これをアフリカ側が「新しく創設される特別ビザ」と誤解して発表したのではないか、と考えれば自然なのだ。国民民主党の玉木代表も後に外務省やJICAからの説明を根拠に訂正したが、当初は「育成就労」との関連を疑っていた。